2014年4月30日水曜日

スルメイカの漁況の見通し (予報期間:5月~7月)

石川県沿岸 5月中旬の能登半島北東沖(右図A)と佐渡北沖(右図B)の50m深水温の差が大きい年は、5~7月のスルメイカの水揚量が多くなる傾向にあります。水温差が大きいとイカの北上が妨げられて、本県沿岸に多くイカが留まるためと考えられます。海況モデルによる計算では、今年5月中旬の水温差は小さいと予想されています。水温差と水揚量の関係から、今期の小型イカ釣りによる本県の水揚量は1,958トンと見積もられ、昨年(3,043トン)・過去5年平均(2,655トン)を下回ると予想されます。

日本海沿岸 漁獲加入前のスルメイカ(主に外套長2~10cm)の分布量を調べるため、石川県水産総合センター・富山県水産研究所・独立行政法人水産総合研究センターは4月に日本海で表層トロール調査を行いました。調査時に外套長5cm以上であったイカは5~7月に漁獲対象になります。外套長5cm以上のイカの調査点当たりの平均採集尾数は8.8尾であり、過去5年平均(12.5尾)を下回り、前年(8.0尾)と同程度でした。また、昨年秋に行われた孵化幼生の分布量調査では、調査点当たりの平均分布密度は0.86尾であり、過去5年平均(1.02尾)および前年(1.10尾)を下回ったことから、今期漁獲されるイカの孵化量は過去5年平均および前年よりも少ないと考えられます。以上から、今期の日本海沿岸への来遊量は過去5年平均を下回り、昨年並みになると予想されます、一方、対馬暖流域の4~6月の表面および50m深水温は近年平均並みで経過すると見込まれており、漁期の開始も近年平年並みになると予想されます。日本海沿岸の予報の詳細については、独立行政法人水産総合研究センターのホームページ(http://www.fra.affrc.go.jp/)をご覧ください。 

漁況週報の紹介

石川県水産総合センターでは、県内の漁港別・漁業種類別・魚種別の水揚情報を毎週お知らせする「漁況週報」の提供を始めました。

水揚港は橋立・金沢・富来・輪島・蛸島・宇出津・七尾地区、漁業種類は定置網・まき網・底曳網・ごち網・刺網・釣り・小型いか釣りです。

漁業種類別に水揚量の多い上位5~10銘柄について、日曜日から土曜日までの集計速報を翌週の火曜日にホームページに掲載します。前週よりも水揚量が増えたかどうかを「動向」として表わすとともに、過去30日間の水揚量や前年比も記載しています。漁況週報は水産総合センター海洋資源部のホームページに掲載します。

石川県主要港の水揚状況 (期間:4月1日~15日)

定置網 メジ・フクラギなどは前年を上回り、サバは前年並み、スルメイカ・カタクチイワシ・マアジ・マイワシ・ウルメイワシ・カワハギは前年を下回りました。

まき網 フクラギ・ガンドは前年を上回り、ブリは前年並み、マアジは前年を下回りました。

底びき網・ごち網 ニギス・ハタハタ・アマエビ・アカガレイ・ノトエビ・アンコウ・ミズウオは前年を上回り、フグ類は前年を下回りました。

その他(刺し網・釣り・採介藻など) ベニズワイガニ・フクラギ・ヤナギバチメ・ガンド・アマエビ・サヨリは前年を上回り、ブリは前年並みでした。

2014年4月14日月曜日

石川県周辺海域の水温 (期間:3月31日~4月9日)

今期の沿岸観測ブイと港内の水温は10.3~11.9℃で、3月下旬から約0.7℃上昇しました。過去3年平均との差は+0.2~+1.0℃でした。本県周辺(海岸線より30海里程度)の4月9日の海面水温は9.5~11.0℃で、過去5年平均との差は-0.5~0.0℃程度でした。




寒ブリ漁のまとめ (期間:2013年11月~2014年3月)

今期の寒ブリ漁(定置網)は、例年よりもやや早い11月中旬から始まり、11月としては1995年以降で最高となる126トンを記録しました。12月も体重8kg以上の「大ブリ」を中心に500トンを超える水揚げがあり、1月中旬頃まで好調が続きました。しかし、期間後半に水揚げされる体重5~6kg台の「中ブリ」が非常に少なかったため、2月以降、水揚量は急減しました。2013年漁期の総水揚量は915トン(速報値)で、約99,000尾(推定値)が水揚げされました。漁海況情報294号(2013年12月27日発行)の予測値(1,181トン)をやや下回ったものの、2013年漁期は前年に続いて大漁であったと評価されます。





冬季のスルメイカ漁のまとめ (期間:2014年1月~3月)

スルメイカの水揚量(定置網)は昨年12月下旬から増え始め、例年よりも早く漁が始まりました。1月には1995年以降では2番目に多い314トンが水揚げされましたが、2~3月の水揚量は過去19年平均の半分程度でした。スルメイカの南下が早く、短期間のうちに本県沿岸を通過した可能性があり、このため漁期後半の水揚げが振るわなかったものと考えられます。2014年漁期の総水揚量は、漁海況情報292号(2013年12月10日発行)の予測値(429トン)をやや上回る489トンであり、過去19年平均(486トン)とほぼ同じでした。




石川県主要港の水揚状況 (期間:3月16日~31日)

定置網 サバ・カタクチイワシ・マアジ・フクラギ・ウルメイワシ・フグ類・サワラ・サゴシなどは前年を上回り、スルメイカは前年並み、マイワシは前年を下回りました。

まき網 ブリ・マダイは前年を上回りましたが、マアジ・サバ・マイワシは前年を下回りました。

底びき網・ごち網 ハタハタ・アカガレイ・マダラ・ホタルイカ・ミズウオは前年を上回り、アンコウは前年並み、ニギス・アマエビは前年を下回りました。

その他(刺し網・釣り・採介藻など) フクラギ・ベニズワイガニ・ブリ・ガンド・クチボソガレイは前年を上回り、アマエビは前年並み、ナマコは前年を下回りました。