■気象の状況
4月2日21時に黄海にあった1006hPaの低気圧は、24時間後の3日21時には日本海中部で964hPaと急速に発達しました(図1)。これにともなって、各地で南から西寄りの風が非常に強まり、金沢では南の風19.4m/s(14時40分)、輪島では西南西の風17.5m/s(19時00分)を観測しました(図2 上の金沢と輪島の図)。
■強流の発生状況
能登町小浦沖では北西向き0.9ノット(4日13時30分)、同鵜川沖では西向き0.9ノット(4日17時20分)を観測しました(図2 下の小浦と鵜川の図)。これに対し、珠洲市小泊沖では、4日夜から東寄りの流れが強まり、東北東向き1.1ノット(5日00時20分)を観測しました(図2 中央の小泊の図)。小泊沖の東寄りの流れは、飯田湾に発生した時計回りの流れによるものとみられます。
■急潮をもたらす南西寄りの強風が観測されたにもかかわらず、大規模な急潮が発生しなかったのは、海水が冷却されてよく混合していたため、風による運動が生じにくかったことが原因と考えられます。今後、気温が上昇して表層水が暖められると、温かく軽い海水が、冷たく重い海水の上に乗る状態(成層状態)となり、表層水は風の影響を受けて容易に運動するようになります。成層が強まる5月~11月であれば、20m/sに達する南西風は確実に急潮を発生させるため、厳重な注意が必要となります。
(海洋資源部 大慶則之)
(海洋資源部 大慶則之)
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