2014年3月10日月曜日

能登半島北西沿岸の50m深水温の長期変動

3月は1年のうちで水温が最も低くなる月です。石川県水産総合センターでは能登半島北西沖の水温を過去から継続して観測しています。能登半島北西50海里内の沿岸の観測点における50m深水温の長期変動を調べてみました。
1960年代から1980年代には、3月の50m深水温は数年周期で上昇と低下を繰り返していましたが、平年値(1965~2013年の平均)を下回ることが多く、この年代の能登半島沿岸は寒冷でした。1990年代から2000年代には、3月水温は平年値を上回るようになり、能登半島沿岸は温暖になりました。しかし、2010年以降、3月水温は平年値をやや下回って推移しています。

1960年代から2000年代には、水温が上昇し始める5月水温と前述の3月水温に類似した年変動がみられました。しかし、5月水温は2010年以降も平年値より高めで推移しています。従って、近年の特徴として、3月には水温は低めであるものの、春の水温上昇が速やかであることがあげられます。

能登半島沿岸が寒冷であった1980年代には、石川県沿岸ではサクラマスやヤリイカが多く漁獲され、ブリやマアジはあまり漁獲されませんでした。しかし、1990年代以降、能登半島沿岸が温暖となり、サクラマスやヤリイカの水揚げが減少する一方、ブリやマアジの水揚げは増加しました。水温の長期変動は複数魚種の資源量や本県沿岸への来遊に大きく影響すると考えられます。2010年以降、3月の水温は低いものの春以降の水温上昇は速やかです。このような状況がどの魚種の漁獲にどのように影響するのか、今後、注視する必要があります。

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