スルメイカの漁況の見通し （予報期間：5月～7月）

石川県沿岸　5月中旬の能登半島北東沖（右図A）と佐渡北沖（右図B）の50m深水温の差が大きい年は、5～7月のスルメイカの水揚量が多くなる傾向にあります。水温差が大きいとイカの北上が妨げられて、本県沿岸に多くイカが留まるためと考えられます。海況モデルによる計算では、今年5月中旬の水温差は－2.37℃と予想されています。水温差と水揚量の関係から、今期の小型イカ釣りによる本県の水揚量は3,233トンと見積もられ、昨年（2,273トン）および過去5年平均（2,636トン）をやや上回ると予想されます。

日本海沿岸　漁獲加入前のスルメイカ（主に外套長2～10cm）の分布量を調べるため、石川県水産総合センター・富山県水産研究所・国立研究開発法人水産総合研究センターは4月に日本海で表層トロール調査を行いました。調査時に外套長5cm以上であったイカは5～7月に漁獲対象になります。外套長5cm以上のイカの調査点当たりの平均採集尾数は51.2尾であり、前年（8.8尾）および過去5年平均（10.7尾）を大きく上回りました。また、昨年秋に行われた孵化幼生の分布量調査では、調査点当たりの平均分布密度は1.49尾であり、前年（0.86尾）および過去5年平均（0.99尾）を上回っていることから、今期漁獲されるイカの孵化量は前年および過去5年平均よりも多いと考えられます。以上から、今期の日本海沿岸への来遊量は前年および過去5年平均を上回ると予想されます。一方、対馬暖流域の4～6月の表面および50m深水温は平年並みで経過すると見込まれており、漁期の開始も前年同様、近年平均並みになると予想されます。日本海沿岸の予報の詳細については、国立研究開発法人水産総合研究センターのホームページ（http://www.fra.affrc.go.jp/）をご覧ください。