2019年4月26日金曜日

能登の藻場の現状と海藻の利活用

■ 石川県立大学の里海活動の組織である「プロジェクト・アイ」からの依頼を受け、4月13日に羽咋市上甘田公民館で、「能登の藻場の現状と食用海藻」について講演をおこなってきました。
■ まず本県でのガラモ場とアマモ場の現状を伝えるため、能登町と七尾西湾で実施した藻場分布調査の結果につい
てお話ししました。第4回自然環境保全基礎調査(1994)によると能登町の沿岸には1,440haのガラモ場があるとされていましたが、2011年に実施した私たちの調査によると、654haと当時の45%に減少しており、沖に広がっていた深い部分の藻場が消失していました。これは調査方法の違いにもよるでしょうが、今回の調査では主に水深10m以浅でしか藻場は確認できませんでした。
■ 次に七尾西湾のアマモ場についてですが、同保全基礎調査によると七尾西湾には1,258haと県内最大のアマモ場が確認されていましたが、2011年に私たちが実施した調査では1,042haと以前の83%に減少し、能登町と同じく深い水深でアマモ場が消失していました。さらに深刻なことに、翌年の追跡調査で多年生のアマモが夏の高水温により全ての地点で地下茎も含めて枯死してしまったことが判明しました。幸い秋の調査で、種から芽生えたばかりのアマモが各地点で見られ、アマモ場は復活しました。しかし、夏から秋の一時期にアマモ場が消失したことで、アマモ場で生息している生物はその間すみかを奪われたことでしょう。夏の高水温によりアマモ場の脆弱性が高まっています。
■ 講演では能登で昔から食べられてきた多種類の食用海藻について、その特徴や生態、併せて料理方法についてもお話しし、講演のあと海藻しゃぶしゃぶを試食してもらいました(右写真)。
■ 先月には能登でレストランを経営されているシェフの方々を磯に案内し、漂着海藻や生えている海藻の様子を体感していただきました。そしてそのあと輪島のフレンチレストランで、シェフたちがそれぞれ能登の海藻を使った料理を作り、それを試食してアドバイスし合うという情報交換会にも参加させていただきました。
■ 能登の海藻は今、熱い注目を浴びています。

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