2015年9月29日火曜日

フクラギの漁況の見通し (予報期間:10月~来年3月)

今年生まれたブリの幼魚(0歳魚)は、本県では7 月頃からボウズ(アオコ)やコゾクラ(ツバス)と呼ばれるサイズで定置網に入網し始め、9~10月にはフクラギと呼ばれるサイズにまで成長します。シーズン当初の7~8月累計水揚量(主要10港定置網)は43トン(速報値)で、平年(過去10年平均157トン)の30%と大きく下回っています。

一方、10月から翌年3月までのフクラギ水揚量と10月における富山湾の200m水深層の水温とには正の相関関係が見られます。今年の200m水深層の予想水温は平年に比べかなり高く、得られた関係式から、水揚量は790トンと見積もられました。今後の海況(水温)状況により変動はあるものの、10月以降水揚量が上向き、今期(10月~来年3月)のフクラギ水揚量は平年(579トン)を上回ると予想されます。

調査船白山丸のスルメイカ調査結果 (期間:9月12日~17日)

調査船白山丸は9月12日から17日に能登半島西沖~大和堆周辺海域でイカ釣り操業を行いました。スルメイカの分布密度の指標であるCPUE(釣機1台1時間当たりの漁獲尾数)は大和堆周辺海域では21.1~42.1尾でした。同海域の平均CPUEは27.9尾であり、前年同時期平均(73.8尾)および過去5年同時期平均(50.0尾)を大きく下回りました。定点調査ではないため厳密に比較できませんが、今年9月の大和堆周辺海域の分布量は前年および過去5年平均を下回っていると考えられます。本調査で漁獲したスルメイカの外套長(魚体サイズの指標)の平均値は22.0cmであり、魚体は前年(24.6cm)および過去5年平均(23.7cm)より小さめでした。

石川県周辺海域の海面水温 (期間:9月20日~24日)

今期の沿岸観測ブイの水温(深度10m)および港内水温(深度1.5m)は22.7~23.6℃で、前年同時期との温度差は-1.5~+1.4℃でした。本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は24.0~25.0℃程度で、過去5年平均との差は-0.5~±0.0℃程度でした。

ソウシハギに注意 !!

9月上旬に石川県沿岸でソウシハギが混獲されました。この魚(写真)は内臓にパリトキシンという強い毒があり、間違って食べると筋肉痛・しびれ・呼吸困難・不整脈などを起こし、死亡に至ることもあります。ウマヅラハギやウスバハギに似ていますが、体全体に青いまだら模様があり、尾びれが大きく長いことから見分けることができます。今後も県内沿岸で混獲される可能性がありますので、食べたり販売したりすることのないよう注意してください。

アオリイカの漁況の見通し (予報期間:9月~12月)

アオリイカは日本海側では青森県以南の沿岸域に分布し、水温の季節変動にあわせて、春に北上し、秋に南下します。石川県では南下期の個体が漁獲対象となっており、9~12月に主に定置網によって漁獲されます。

定置網による水揚量は年変動が大きく、これには水温が関係しています。9~12月の水揚量と9月上旬の宇出津港の水温との関係を調べたところ、水温が高い年ほど水揚量が多い傾向がみられます。今年の水温は25.1℃であり、過去5年平均(27.7℃)より低くなっています。この値を水温と水揚量の関係式に当てはめると、今年9~12月の定置網による水揚量は87トンと見積もられ、前年(118トン)および過去5年平均(159トン)を下回ると予想されます。

石川県主要港の水揚状況 (期間:9月1日~15日)

定置網 サワラ・サゴシはサゴシを主体として、西海・輪島を中心に242トン水揚げされました。6月上旬から9月中旬までの累計は931トンで、前年(278トン)および過去5年平均(189トン)を上回りました。サバ・シイラ・マアジ・カマスは前年を上回り、フクラギは前年並みでした。
まき網 フクラギ・ガンド・マアジは前年を下回りました。
底びき網・ごち網 ハタハタは前年を上回り、アマエビは前年並み、ニギス・アカガレイ・マガレイは前年を下回りました。
刺網・釣り・その他 釣り等のアカイカは1.3トン水揚げされました。7月上旬から9月中旬までの累計は3.3トンであり、前年(0.6トン)を上回り、過去5年平均(6.2トン)を下回りました。ベニズワイガニは前年を下回りました。

2015年9月11日金曜日

石川県周辺海域の水温 (期間:9月4日~8日)

沿岸の海面水温 9月8日の本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は25~26℃台で、過去5年平均との差は-1.0~±0.0℃程度でした。

沿岸観測ブイの水温 今期の水温は24.0~24.9℃で、8月下旬から約1.3℃低下しました。前年同時期との差は-1.7~-0.8℃、過去3年平均との差は-3.0~-2.4℃でした。

港内の水温 今期の水温は24.9~26.5℃で、前年同時期との差は-1.1~-0.6℃、過去3年平均との差は-2.3~-1.3℃でした。

調査船白山丸のアマエビ調査結果 (期間:8月4日~6日)

調査船白山丸は8月4~6日に金沢沖の水深375~500mの海域でアマエビ(ホッコクアカエビ)の分布量調査を行いました。本調査は2008年から実施しており、縦150cm×横220cmの金属枠に長さ10m・目合16節の袋網を付けた漁具を30分間曳網し、若齢エビの分布を調べています。

2012年生まれである頭胸甲長18mm前後の3歳エビは、1回の曳網当たり100尾採集されました。発生量の特に多かった2010年生まれ、2011年生まれに比べると少ないですが、それ以前と比較すると高い水準にあります。アマエビの県内漁獲量は2012年以降増加しており、今年は過去10年で最も多くなっています。2012年生まれが本格的に漁獲対象となる来年以降も、現状と同様に好漁が見込まれます。

2014年生まれである頭胸甲長11mm前後の1歳エビは、1回の曳網当たり515尾採集されました。この時期の1歳エビとしては2008年の調査開始以来最も多く、これらが順調に成長すれば、漁獲対象となる2018年以降も好漁が予想されます。

石川県主要港の水揚状況 (期間:8月16日~31日)

定置網 マアジ・サワラ・サゴシ・シイラ・サバ・ガンドは前年を上回り、フクラギは前年を下回りました。
まき網 フクラギは前年並み、ガンド・サバ・ブリは前年を下回りました。
底びき網・ごち網 沖合底びき網のアマエビは前年を下回りました。
刺網・釣り・その他・小型いか釣り アカイカは1.3トン水揚げされました。7月上旬から8月下旬までの累計は2.0トンであり、前年(0.3トン)を上回り、過去5年平均(4.9トン)を下回りました。ハタハタは前年を上回りました。ベニズワイガニ・マダコは前年並み、サザエは前年を下回りました。