2019年12月26日木曜日

珍しい魚が獲れました !!


今年、石川県で採集された珍しい魚を紹介します。

 まずは能登町沖で採集された「トクビレ」について紹介します。この魚は北海道など北の地域では一般的な魚で、ハッカクやサチなどの地方名で親しまれています。体には鱗がなく、硬い皮で覆われており、オスは写真のような大きく綺麗なヒレを持っています。トクビレの身は白身で脂がのり、刺身や塩焼きなどどんな料理にしても美味しく、高級魚として知られています。石川県では刺網で稀に漁獲されますが、市場には滅多に出回らない魚です。もし売られているのを見かけましたらぜひ食べてみてください。



 次に、七尾市沖で採集されたハモの仲間である「スズハモ」です。この魚は写真を見てわかるようにかなり大きく成長することが知られており、写真の個体は2mを超えていました。一般に知られているハモとよく似ていますが、肛門より前の背びれの棘の数が60本以下であることや背骨の数が142個以下であることなどで見分けられます。これだけ大きいので食べ応えがありそうですが、体中に細く硬い骨が散在しており、ハモで馴染みのあるかば焼きでは食べにくかったです。しかし、すり身にして蒲鉾や薩摩揚げにするととても美味しく食べられました。今回の個体は全部食べ切るのに1週間以上かかりました。



 最後に、金沢市沖で採集された「ミナミクルマダイ」です。この魚の日本海側での採捕報告はなく、初めての記録になりました。石川県でよく獲られるチカメキントキと似ていますが、体が全体的に丸いこと、体に横縞があること、ヒレの縁が黒いことで見分けられます。この種は太平洋や南シナ海などで稀にしか見つからず、その生態はよくわかっていません。写真の個体は金沢の底びき網によって漁獲されました。市場で見かけた時はそれほど珍しい魚だと思わず、写真しか撮りませんでした。しかし、その後で貴重な魚だと気づいた時にはすでに見つからず、標本として採集できなかったことを後悔することになりました。



   ミナミクルマダイのような珍しい魚は毎年見つかっており、石川県では過去に新種も発見されています。もし、初めて見た魚、いつもと模様や形が違う魚を発見されましたら、ぜひ水産総合センターまでご連絡ください。
(川畑 達)



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