2010年4月30日金曜日

サワラの水揚げ状況(春漁期)

 県内では、サワラの盛漁期を迎えています。
 外浦海域の主要港における4月中旬までの漁獲量は42トン(速報値)で、平年(過
去5カ年平均)の333%となっています。平年では4月下旬に漁獲のピークが見られま
すが、今年は来遊時期がやや早くなっています。
一方、内浦海域の主要港における4月下旬までの漁獲量は34トンで、平年の31%と
低調な漁況となっています。

石川県主要港における過去の漁獲量の推移をみると、秋漁期のサワラ(サゴシを除
く)漁獲量が多い年は、翌年の春漁期のサワラ漁獲量が多くなる傾向が見られていま
す。
 昨年秋のサワラ漁獲量は、平年の7割程度であったことから、今年の春漁期につい
ては、2kg前後のサワラ銘柄主体に、平年をやや下回る水準で推移すると思われま
す。

3月の漁獲量(漁海況情報168号)

○ 定置網
 主要10港合計は1,228トンで、平年(過去10カ年平均)並みの漁獲量で
した。
 最も多く漁獲されたのはカタクチイワシの537トンで、平年をやや下回りまし
た。マアジは187トンで平年をかなり上回りました。ブリは146トンで、4〜5
kgサイズ主体に宇出津港・七尾地区でまとまった漁獲があり、平年をかなり上回り
ました。スルメイカは113トンで平年をやや下回りました。
○ 底びき網
 主要10港合計は632トンで、平年をやや下回る漁獲量でした。
 最も多く漁獲されたのはハタハタの238トンで、平年をやや下回りました。ア
カガレイは113トン、ニギスは90トンで、いずれも平年並みでした。ズワイガニ
(雄)は28トンで平年をやや上回りました。11月の解禁から3月までの累計は3
12トンで、平年並みでした(平年比120%)。
○ まき網
 主要10港合計は443トンで、平年をかなり下回る漁獲量でした。
 最も多く漁獲されたのはブリの180トンで、平年をかなり上回りました。マア
ジは111トンで平年をかなり下回りました。マダイは109トンで平年をかなり上
回りました。
○ 刺 網
 主要10港合計は135トンで、平年をやや下回る漁獲量でした。
 最も多く漁獲されたのはウスメバル(やなぎばちめ)の42トンで、輪島港主体
に平年をかなり上回りました。メダイは11トンで平年をやや上回りました。マダラ
は9トンで平年をかなり上回りました。
○ 釣 り
 釣りの主要10港合計は6トンで、平年をかなり下回る漁獲量でした。
 最も多く漁獲されたのはウスメバル(やなぎばちめ)の2トンで、平年をやや下
回りました。

第1回日本海海況予報(平成22年4月7日)の概要

2010年3月の海況模式図

 日本海沿岸の道府県水産研究機関と水産総合研究センター日本海区水産研究所が検
討しとりまとめた日本海海況予報が以下のとおり発表されました。

今後の見通し(2010年4月〜6月)
○隠岐諸島北東の暖水域は、東に移動して能登半島に接近する。能登半島北方の暖水
域は、東に移動して佐渡島周辺に分布する。
○島根沖、山陰・若狭沖、佐渡島沖の各冷水域の張り出しは、やや弱めで経過する。
○対馬暖流域の表面水温は、"平年並み"で経過する。
○対馬暖流域の50m深水温は、日本海西部及び北部とも"平年並み"で経過する。

4月の水温の状況(4月定線観測結果)

○本県周辺の水深50m水温は9〜11℃台で、加賀沖・能登半島外浦沖・富山湾の
いずれの海域も"平年並み"から"やや低め"(0〜1℃低め)の水温分布を示して
います。
○表面水温は10〜11℃台で、加賀沖・富山湾では"平年並み"、能登半島外浦沖
では"やや低め"(0〜1℃低め)の水温分布を示しています。
○佐渡島沖の冷水域は、平年に比べて禄剛埼にやや近づいて分布しています。

第1回日本海スルメイカ漁況予報

2010年 第1回 日本海スルメイカ漁況予報

 2010年5〜7月の石川県沿岸の漁獲量は、昨年を上回り、過去5ヵ年平均を下
回ると予想されます。日本海全体の来遊量は、昨年および過去5ヵ年平均を下回ると
予想されます。昨年および過去5ヵ年平均に比べて今年は、魚群の北上は遅く、魚体
の大きさは小さいと考えられます。

2010年4月9日金曜日

内浦海域海洋観測速報 4月

内浦海域観測速報
平成22年4月
4月5日に定点観測を実施した。
内浦海域の各水深層の平均水温と平年比は以下の通り。
表層  10.7℃ "やや低め"
30m深  9.8℃ "やや低め"
50m深 9.7℃ "やや低め"
100m深 9.6℃ "やや低め"
内浦海域の50m深の水温分布は、変化が少ないものの、飯田湾沖から能登町沿岸域に
かけて高めであった。
七尾湾観測は北湾9.8℃、西湾10.1℃、南湾9.8℃で、いずれも"やや低め"であっ
た。
宇出津地先水温は10.2℃(4月8日現在)で、前年同期、過去10ケ年平均を1℃程度下

っている。
  平成22年4月9日発行
 石川県水産総合センター 海洋資源部       
                              投稿者 石川県水
産総合センター海洋資源部

2010年4月1日木曜日

市場調査日誌 カワビシャ

(標準和名)カワビシャ
平成22年3月18日、宇出津港で確認(尾叉長25cm)。

 平成22年3月18日、能登町の定置網で見慣れない魚が水揚げされていました。その魚は市場に並べられた雑魚の山の中にありました。
 これは、「カワビシャ(スズキ目カワビシャ科)」という魚です。
体は高く、左右平べったく厚みが少ない体形で、口先はやや突出しています。体色は黒褐色で、灰色の帯が4本みられました。似た魚で「テングダイ」という魚がいますが、テングダイに比べて、この魚は背ビレの第3,4番目の固いトゲが長いこと、尻ビレの第2番目の固いトゲが長いことが特徴です。
 本種は、銚子以南;中国沿岸、フィリピン、紅海、オマーン、南アフリカの世界各地の暖海域に分布し、沖合(水深40〜400m)の粗い砂底や岩礁域に生息しているよう
です。
 歩留まりは少し悪いようですが、味はとても良く、刺身、塩焼き、煮つけでおいしく食べられます。

海洋資源部

市場調査日誌 テングダイ

(標準和名)テングダイ
平成22年1月7日、宇出津港で確認(尾叉長31cm)。

平成22年1月7日、能登町の定置網で愛嬌ある見た目の魚が水揚げされていました。
これは、「テングダイ(スズキ目カワビシャ科)」という魚です。県内ではこの時期に稀にみることがあります。
体は高く、左右平べったく厚みが少ない体形で、口先はやや突出しています。また背ビレが大きいことが特徴です。
本種は、南日本沿岸、小笠原諸島;赤道をはさむ中・西部太平洋に分布する暖海性の魚です。水深40〜250mに生息しています。
刺身、塩焼き、煮つけ、フライ、ムニエル、唐揚げでおいしく食べられます。

海洋資源部