当センターでは、身が大きく肉厚で、甘みが強いことから市場で高い評価を得ている七尾湾産のトリガイの安定供給を目的に、平成22年度から育成技術の開発に取り組み、平成26年度からは漁業者による本格的な育成が開始されました。
育成する種苗は海で安定的に確保することができないため、当センターで4月下旬から大きさ1㎝以上にまで育てた種苗を7月に漁業者に配布します。漁業者は、その種苗を床材となるアンスラサイト(無煙炭)を入れたコンテナに収容し、海面の筏等から水深約10mに垂下して飼育を開始します。トリガイは成長が早く、翌年5月には商品サイズ(8㎝程度)になりますが、この間、定期的にコンテナ交換、床材洗浄、収容密度を調整するなどの飼育管理を行います。
育成されたトリガイは「能登とり貝」と命名(商標登録済み)され、天然トリガイと変わらぬ品質から高価格で取引されるようになりましたが、夏場の高水温による斃死など、安定生産に向けての課題もあります。このため、当センターでは育成海域の水温、酸素量、プランクトン量を自動観測し、適正な飼育水深を漁業者に情報提供するシステムの導入といった対策を進めており、今後も石川の新たな特産品として「能登とり貝」の生産拡大に取り組んでいきます。
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