5月17日に能登島向田町の方から「向田漁港に謎の卵が浮いている」との情報があり、卵の写真とその一部をいただきました。卵は透明なゼラチン質で覆われており、一見するとカエルの卵のようでした。発見者によると、卵は帯状になって数メートルにわたり海面に浮いていたとのことでした。この状態では何の卵かわからないので、センターでふ化させ、産まれた仔魚(ふ化直後の幼魚)を観察してみたところ、この卵はキアンコウのものであることがわかりました。キアンコウは一般に「アンコウ」として親しまれる魚の標準和名です。本種は4~6月に水深50m以浅で産卵するとされており、その卵は帯状となって海面付近を漂います。おそらく富山湾内で産み出されたものが七尾湾に入り、向田漁港に流れ着いた珍しい事例と思われます。
キアンコウは冬の代表的な味覚のひとつです。県内では主に底曳網や定置網、刺網で漁獲されており、年間80トン前後が水揚げされています。特に、能登半島の先端に位置する珠洲市では冬にあんこう祭りが開催されており、地域にとって大変重要な魚種となっています。今年の冬は是非ともキアンコウを味わってみてください。(内藤隆介)
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