今年、石川県で採集された珍しい魚を紹介します。
まずは、能登町で採集されたカワハギの仲間である「ギマ」について紹介します。この魚は太平
洋側では多く見られますが、日本海側では稀にしか採集されず、水産総合センターでは初の記録となりました。皮膚の粘液が強く、背鰭、腹鰭に3本の強靭な棘があります。加えて群れで生息しているため、太平洋側の定置網では大量入網し、網や漁獲物を傷つける厄介者です。もしどこかで触る機会がありましたら、気を付けて触るようにしてください。
次に、珠洲市で採集されたカワハギの仲間である「アミモンガラ」です。この魚は石川県では過去にも何回か採集されており、見たことがある方もいるかもしれません。ただし今回の採集された個体には一般的なアミモンガラにある特徴的な白斑が見られませんでした。そのため、最初は違う種類と考えましたが、鱗の形状や分布などからアミモンガラとわかりました。なぜ白斑がなかったのかは文献を調べてみましたが結局わかりませんでした。
最後に、能登町で採集された「クマサカフグ」です。この魚も日本海側では稀にしか採集されず、水産総合センターで初の記録となりました。この魚の写真から分かるように、石川県で多く水揚げされる“きんぷく(シロサバフグ)”によく似ています。しかし、胸鰭の下方が白く、上方が黒い、腹部に黒点が点在し、大きな棘があることなどの特徴から容易に判別できます。さらに、この魚はきんぷくと比べてかなり大きくなることも特徴で、この個体は全長52㎝もありました。きんぷくよりも食べごたえがありそうですが、毒性は不明なため、食べないでください。加えて、条例でもこの魚の販売・加工・調理が規制されていますので、捕まえても逃がすようお願いします。
もし、初めて見た魚、いつもと模様や形が違う魚を発見されましたら、水産総合センターまでご連絡ください。石川県では過去にも新種の魚が見つかっています。もしかしたら新種の第一発見者となれるかもしれません。
(海洋資源部 川畑達)