2019年6月28日金曜日

石川県周辺海域の海面水温 (期間:6月16日~20日)


沿岸の海面水温 6月20日の本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は20~21℃台で、過去5年平均との差は-0.5~+0.5℃程度でした。


沿岸観測ブイの水温 今期の水温は19.2~20.4℃で、6月上旬から約0.4℃上昇しました。過去3年平均との差は-0.4~+0.8℃でした。

港内の水温 今期の水温は19.7~22.9℃で、前年同時期との差は+0.1~+2.0℃、過去3年平均との差はー0.2~+0.7℃でした。

小型いか釣りのスルメイカ水揚状況 (期間:5月1日~6月18日)

  
   小型いか釣り漁船によるスルメイカの水揚げは後半に入りました。5月1から6月18日の県内水揚量は1,304トンであり、前年同時期(674トン)を上回り、過去5年平均(1,324トン)並みとなっています。6月16日の低気圧通過にともなう時化や満月の影響で水揚げが落ち込みました。6月19日現在、主な漁場は金沢・西海・門前・珠洲沖にあります。
    銘柄(1箱当たりの入り尾数)別箱数割合をみると、30尾入りと40尾以上入りが全体の88%を占めており、前年および過去5年平均に比べて魚体は小さめです。

石川県主要港の水揚状況 (期間:6月1日~15日)

定置網 ブリ・スルメイカ・サワラ・サゴシは前年を上回り、マイワシ・フクラギ・トビウオ・ガンドは前年を下回りました。マアジは宇出津・七尾地区を中心に80トン水揚げされました。4月前半から6月前半の累計は197トンで、前年(200トン)並みで過去5年平均(426トン)を下回りました。

まき網 ウルメイワシ・マアジが前年を上回り、マイワシ・サバ・マダイが前年を下回りました。
底びき網・ごち網 スルメイカは前年を上回り、アマエビ・ニギス・マダラは前年並みでした。ハタハタは珠洲地区を中心に33トン水揚げされました。2月前半から6月前半の累計は261トンで、前年(206トン)を上回り、過去5年平均(318トン)を下回りました。
刺網・釣り・その他 カワハギは前年を上回り、サザエ・マダコは前年並み、ベニズワイガニ・イワガキは前年を下回りました。ヤナギバチメは輪島を中心に13トン水揚げされました。3月前半から6月後半までの累計は90トンで、前年(124トン)および過去5年平均(118トン)を下回りました。

アユの種苗生産


  アユは、全国各地に分布する1年魚で、川でふ化した後に海へ下って仔稚魚期を海で過ごし、再び川を遡っていくという生活史を送ります。本県におけるアユの産卵期は10月上旬~11月上旬で、下流域の河底が小砂利などの場所で、主に1~2cmの石に直径1mmほどの卵を産み付けます。産卵の約2週間後に全長6mm前後でふ化したアユはそのまま海(河口付近のごく沿岸域)へと下り、冬の間に主に動物プランクトンを食べて成長します。
  アユの遡上量は様々な要因によって大きく変動します。特に、稚魚期における海洋環境や外敵の量が大きく影響すると考えられています。これらは人の力で制御することが困難であることから、人工飼育の稚アユを放流(種苗放流)することで、アユの遡上量を補う取り組みを行っています。
  ふ化した稚アユは冬の間は海水で、春には淡水で体長70mm以上になるまでに飼育します。4~6月に県内の内水面漁業協同組合に配布し、各河川に放流されます。このように、アユの飼育環境は、海水から淡水へと大きく変わるため、生産コストが高いことに加えて飼育が難しい種苗ですが、志賀事業所と美川事業所が連携を組むことにより、安定した種苗生産を確立しています。また、内水面水産センターでは手取川におけるアユ遡上状況、産卵状況などを調査し、種苗生産と併せてアユ資源の持続的な利用に繋がるよう日々努力しています。
  今年も、水産総合センターが生産した約36万尾の稚アユが、県内の9河川で放流され、アユ漁解禁とともに太公望を楽しませています。(増田泰隆)

七尾湾貝桁網操業が終了しました。


  2019年の七尾湾貝桁網操業が終了しました。今年度の操業期間は2019年4月17日~5月31日で、操業船10隻によりトリガイ1,621kg、アカガイ2,243㎏が水揚げされました。
  今年度のトリガイ漁獲量は昨年(6,981㎏)の約1/4となり、過去10年平均(5,440㎏)と比較しても低調な水揚げとなりました。漁獲されたトリガイは大銘柄が中心で、日によっては1キロあたり8,000円を超える高値で取引されました。一方、南湾を中心にアカガイが多く漁獲され、7年ぶりに2トンを超える水揚げとなりました。

2019年6月14日金曜日

石川県周辺海域の水温 (期間:6月2日~6日)

沿岸の海面水温 6月6日の本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は19~20℃台で、過去5年平均との差は+0.5~+1.0℃程度でした。

沿岸観測ブイの水温 今期の水温は18.8~20.0℃で、5月中旬から約3.0℃上昇しました。前年同時期との差は+0.4~+1.9℃、過
去3年平均との差は+0.5~+1.7℃でした。

港内の水温 今期の水温は19.3~21.9℃で、前年同時期との差は+0.3~+1.5℃、過去3年平均との差は+0.7~+1.5℃でした。

小型いか釣りのスルメイカ水揚状況 (期間:5月1日~6月9日)

   小型いか釣り漁船によるスルメイカの水揚げは中盤に入っています。5月1日から6月9日の県内水揚量は1,006トンであり、前年(557トン)を上回り、過去5年平均(1,042トン)並みで推移しています。

   銘柄別の箱数割合をみると、30尾入りと40尾以上入りが全体の90%を占めており、前年(48%)および過去5年平均(69%)よりも割合が高く、前年および過去5年平均に比べて魚体は小さめです。

   5月の延べ入港隻数を集計したところ、今年の入港隻数は1,778隻であり、前年(1,230隻)を上回り、過去5年平均(1,733隻)並みになっています。入港1隻当たりの水揚量を求めたところ、今年は385kgで、前年(206kg)を上回り、過去5年平均(447kg)をやや下回っています。従って、今年の県沿岸へのスルメイカの来遊量は前年を上回り、過去5年平均をやや下回っていると考えられます。6月9日現在、漁場は西海・門前・輪島沖にあり、佐渡以北ではまだ本格的な漁場は形成されていない模様です。

石川県主要港の水揚状況 (期間:5月16日~31日)

定置網 マイワシ・ウルメイワシは前年を上回り、フグ類・マアジは前年並み、フクラギ・ブリ・ガンド・サバは前年を下回りました。サワラ・サゴシは20トン水揚げされました。3月前半から5月後半までの累計は34トンで、前年(41トン)および過去5年平均(117トン)を下回りました。
まき網 マアジは前年並み、マイワシ・サバは前年を下回りました。
底びき網・ごち網 ハタハタ・フグ類は前年を上回り、ニギスは前年並み、アカガレイは前年を下回りました。アマエビは86トン水揚げされました。3月前半から5月後半までの累計は239トンで、過去5年平均(249トン)並みでした。
刺網・釣り・その他 ベニズワイガニ・イワガキ・ヤナギバチメは前年並みでした。

電子標識(アーカイバルタグ)を付けたブリを多数放流しました!

   石川県水産総合センターでは、ブリの回遊生態を明らかにするため、日本海区水産研究所、関係県水産研究機関、石川県定置漁業協会と連携・協力し、5月下旬に曽々木沖で電子標識を付けたブリ(ガンドとフクラギを含む)を147尾放流しました。
   この標識には、深度・水温・照度センサーが組み込まれており、それらのデータが本体に長期間記録されます。放流後、漁獲されたブリから標識を取り出し、内部データを解析することで、そのブリの回遊経路、遊泳深度、経験水温を知ることができます。今回の放流は電子標識を用いた放流としては、過去最多尾数の取組みであり、ブリの回遊生態が一層明らかになり、近年の北海道での豊漁や北陸での漁獲量減少の要因が解明できるものと期待されます。
   標識の付いたブリを漁獲・水揚げした場合には、漁獲した日付と位置、魚体の大きさ、魚体の有無を石川県水産総合センター海洋資源部(0768-62-1324)までご連絡下さい。科学的に重要なデータを持つ標識魚なので、可能な限り魚体ごと回収させていただきたいと考えています。(四方崇文)

謎の卵!?

   5月17日に能登島向田町の方から「向田漁港に謎の卵が浮いている」との情報があり、卵の写真とその一部をいただきました。卵は透明なゼラチン質で覆われており、一見するとカエルの卵のようでした。発見者によると、卵は帯状になって数メートルにわたり海面に浮いていたとのことでした。この状態では何の卵かわからないので、センターでふ化させ、産まれた仔魚(ふ化直後の幼魚)を観察してみたところ、この卵はキアンコウのものであることがわかりました。キアンコウは一般に「アンコウ」として親しまれる魚の標準和名です。本種は4~6月に水深50m以浅で産卵するとされており、その卵は帯状となって海面付近を漂います。おそらく富山湾内で産み出されたものが七尾湾に入り、向田漁港に流れ着いた珍しい事例と思われます。
   キアンコウは冬の代表的な味覚のひとつです。県内では主に底曳網や定置網、刺網で漁獲されており、年間80トン前後が水揚げされています。特に、能登半島の先端に位置する珠洲市では冬にあんこう祭りが開催されており、地域にとって大変重要な魚種となっています。今年の冬は是非ともキアンコウを味わってみてください。(内藤隆介)