沿岸の海面水温 3月24日の本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は10~11℃台で、過去5年平均との差は+0.5℃程度でした。
沿岸観測ブイの水温 今期の水温は11.0~12.2℃で、3月上旬から0.1℃上昇しました。前年同時期との差は+1.2~+1.8℃、過去3年平均との差は+0.5~+1.0℃でした。
港内の水温 今期の水温は11.3~11.9℃で、前年同時期との差は+1.2~+1.8℃、過去3年平均との差は+0.6~+0.9℃でした。
2019年3月29日金曜日
ズワイガニ漁のまとめ (期間:2018年11月~2019年3月)
2018年漁期(昨年11月~今年3月)の底びき網漁船による県内主要港(橋立港・金沢港・富来港・輪島港・蛸島港・鵜飼港)へのズワイガニの水揚状況は以下のとおりでした。
2018年漁期の雄ガニ(加能ガニ)の水揚量は185トンで、前年(196トン)の94%、過去5年平均(222トン)の83%でした。2011年漁期以降、雄ガニの水揚量は減少傾向にあります。2018年漁期の雌ガニ(香箱)の水揚量は105トンで、前年(108トン)の97%、過去5年平均(158トン)の67%でした。今漁期は出漁隻数が少なく、水揚量は低水準となりました。
2018年漁期の雄ガニのキログラム単価は4,838円で、前年(4,755円)並みで過去5年平均(4,411円)を上回りました。雌ガニの単価は2,878円で、前年(2,614円)および過去5年平均(1,997円)を上回りました。2015年以降雄ガニおよび雌ガニの単価はともに高水準で推移しています。総水揚金額(12.0億円)は前年(12.2億円)および過去5年平均(12.7億円)並みでした。
本県の底びき網漁業者は資源を保護するために雌ガニの漁期短縮やミズガニの禁漁など資源管理に積極的に取り組んでいます。ズワイガニはおおむね7~8歳以降に漁獲対象になるため、資源保護の効果が出るまでには時間がかかりますが、引き続き資源管理への協力をお願いします。
2018年漁期の雄ガニ(加能ガニ)の水揚量は185トンで、前年(196トン)の94%、過去5年平均(222トン)の83%でした。2011年漁期以降、雄ガニの水揚量は減少傾向にあります。2018年漁期の雌ガニ(香箱)の水揚量は105トンで、前年(108トン)の97%、過去5年平均(158トン)の67%でした。今漁期は出漁隻数が少なく、水揚量は低水準となりました。
2018年漁期の雄ガニのキログラム単価は4,838円で、前年(4,755円)並みで過去5年平均(4,411円)を上回りました。雌ガニの単価は2,878円で、前年(2,614円)および過去5年平均(1,997円)を上回りました。2015年以降雄ガニおよび雌ガニの単価はともに高水準で推移しています。総水揚金額(12.0億円)は前年(12.2億円)および過去5年平均(12.7億円)並みでした。
本県の底びき網漁業者は資源を保護するために雌ガニの漁期短縮やミズガニの禁漁など資源管理に積極的に取り組んでいます。ズワイガニはおおむね7~8歳以降に漁獲対象になるため、資源保護の効果が出るまでには時間がかかりますが、引き続き資源管理への協力をお願いします。
石川県主要港の水揚状況 (期間:3月1日~15日)
定置網 カタクチイワシ・ブリ・マアジは前年を上回り、マダラ・カワハギは前年並み、マイワシは前年を下回りました。スルメイカは50トン水揚げされました。12月前半から3月前半までの累計は248トンで、前年(407トン)および過去5年平均(421トン)を下回りました。
まき網 マアジ・サバ・ブリ主体の水揚げで、前年を上回りました。
底びき網・ごち網 アマエビは前年を上回り、ハタハタ・ズワイガニ・マダラは前年並み、アカガレイ・ニギス・フグ類は前年を下回りました。
刺網・釣り・その他 ベニズワイガニ・アマエビ・ガンドは前年を上回り、ヤナギバチメは前年並みでした。
まき網 マアジ・サバ・ブリ主体の水揚げで、前年を上回りました。
底びき網・ごち網 アマエビは前年を上回り、ハタハタ・ズワイガニ・マダラは前年並み、アカガレイ・ニギス・フグ類は前年を下回りました。
刺網・釣り・その他 ベニズワイガニ・アマエビ・ガンドは前年を上回り、ヤナギバチメは前年並みでした。
誕生・石川の新たな特産品 「能登とり貝」
当センターでは、身が大きく肉厚で、甘みが強いことから市場で高い評価を得ている七尾湾産のトリガイの安定供給を目的に、平成22年度から育成技術の開発に取り組み、平成26年度からは漁業者による本格的な育成が開始されました。
育成する種苗は海で安定的に確保することができないため、当センターで4月下旬から大きさ1㎝以上にまで育てた種苗を7月に漁業者に配布します。漁業者は、その種苗を床材となるアンスラサイト(無煙炭)を入れたコンテナに収容し、海面の筏等から水深約10mに垂下して飼育を開始します。トリガイは成長が早く、翌年5月には商品サイズ(8㎝程度)になりますが、この間、定期的にコンテナ交換、床材洗浄、収容密度を調整するなどの飼育管理を行います。
育成されたトリガイは「能登とり貝」と命名(商標登録済み)され、天然トリガイと変わらぬ品質から高価格で取引されるようになりましたが、夏場の高水温による斃死など、安定生産に向けての課題もあります。このため、当センターでは育成海域の水温、酸素量、プランクトン量を自動観測し、適正な飼育水深を漁業者に情報提供するシステムの導入といった対策を進めており、今後も石川の新たな特産品として「能登とり貝」の生産拡大に取り組んでいきます。
育成する種苗は海で安定的に確保することができないため、当センターで4月下旬から大きさ1㎝以上にまで育てた種苗を7月に漁業者に配布します。漁業者は、その種苗を床材となるアンスラサイト(無煙炭)を入れたコンテナに収容し、海面の筏等から水深約10mに垂下して飼育を開始します。トリガイは成長が早く、翌年5月には商品サイズ(8㎝程度)になりますが、この間、定期的にコンテナ交換、床材洗浄、収容密度を調整するなどの飼育管理を行います。
育成されたトリガイは「能登とり貝」と命名(商標登録済み)され、天然トリガイと変わらぬ品質から高価格で取引されるようになりましたが、夏場の高水温による斃死など、安定生産に向けての課題もあります。このため、当センターでは育成海域の水温、酸素量、プランクトン量を自動観測し、適正な飼育水深を漁業者に情報提供するシステムの導入といった対策を進めており、今後も石川の新たな特産品として「能登とり貝」の生産拡大に取り組んでいきます。
伝統的な発酵食品「いしる」の魅力
能登の「いしる」は、秋田県の「しょっつる」、香川県の「いかなご醤油」と並ぶ日本三大魚醤油の一つとして知られています。平成27年度の生産量は257トンで、自然食品への関心の高まりや業務用調味料としての需要拡大などにより生産量は過去20年間で3倍に増加しています。
「いしる」の原料は魚介類と食塩のみで添加物は使用しません。約1~3年をかけて自然発酵させることでうま味を作り出しており、うま味の指標となるアミノ酸が大豆こいくち醤油の特級クラス以上に多く含まれています。
また、他の魚醤油に比べ、疲労回復に効果のあるタウリンや、活性酸素の働きを阻止する物質、血圧上昇を抑制する酵素なども多く含まれています。
「いしる」は、能登の気候風土に適した伝統的な製法を守り製造されています。しかし、需要の増加や販路の多様化に伴い生産拡大や品質の安定化など新たな課題への対応も求められています。
当センターではこれまでにも新たな原料を用いた製造技術の開発や、残滓を有効利用するための調味料の開発などに取り組んできました。今後もさらなる研究に取組み生産者を応援していきます。
「いしる」の原料は魚介類と食塩のみで添加物は使用しません。約1~3年をかけて自然発酵させることでうま味を作り出しており、うま味の指標となるアミノ酸が大豆こいくち醤油の特級クラス以上に多く含まれています。
また、他の魚醤油に比べ、疲労回復に効果のあるタウリンや、活性酸素の働きを阻止する物質、血圧上昇を抑制する酵素なども多く含まれています。
「いしる」は、能登の気候風土に適した伝統的な製法を守り製造されています。しかし、需要の増加や販路の多様化に伴い生産拡大や品質の安定化など新たな課題への対応も求められています。
当センターではこれまでにも新たな原料を用いた製造技術の開発や、残滓を有効利用するための調味料の開発などに取り組んできました。今後もさらなる研究に取組み生産者を応援していきます。
2019年3月18日月曜日
石川県周辺海域の水温 (期間:3月6日~10日)
サヨリの漁況の見通し (予報期間:3月~5月)
石川県では、季節を代表する水産物を「石川の四季のさかな」とし、春の魚としてサヨリを選定しています。サヨリは主に2隻の船で網を曳く船びき網により漁獲され、主漁期は3~5月です。
県内主要港の3~5月の船びき網等によるサヨリの水揚量は、1998年には163.0トンありましたが、その後減少し、2010年以降は10~30トン程度で推移しています。この長期的な水揚量の減少の主な理由としては、操業隻数の減少があげられます。一方、近年の水揚量の変動と沿岸水温(宇出津港内の水温)との関係を調べたところ、一部例外的な年はあるものの、2月下旬~3月上旬の沿岸水温が低いほど、3~5月の水揚量が少ない傾向がみられました。
今年2月下旬~3月上旬の宇出津港の平均水温は11.5℃でした。この値を水温と水揚量の関係式に当てはめると、今年3~5月の主要港の船びき網等による水揚量は29.2トンと推定され、前年(16.0トン)および過去5年平均(20.4トン)を上回ると予想されます。
県内主要港の3~5月の船びき網等によるサヨリの水揚量は、1998年には163.0トンありましたが、その後減少し、2010年以降は10~30トン程度で推移しています。この長期的な水揚量の減少の主な理由としては、操業隻数の減少があげられます。一方、近年の水揚量の変動と沿岸水温(宇出津港内の水温)との関係を調べたところ、一部例外的な年はあるものの、2月下旬~3月上旬の沿岸水温が低いほど、3~5月の水揚量が少ない傾向がみられました。
今年2月下旬~3月上旬の宇出津港の平均水温は11.5℃でした。この値を水温と水揚量の関係式に当てはめると、今年3~5月の主要港の船びき網等による水揚量は29.2トンと推定され、前年(16.0トン)および過去5年平均(20.4トン)を上回ると予想されます。
石川県主要港の水揚状況 (期間:2月16日~28日)
定置網 スルメイカ・カタクチイワシ・マアジ・マダラは前年を上回り、マイワシは前年を下回りました。ブリは46トン水揚げされました。11月前半から2月後半までの累計は560トンで、前年(281トン)および過去5年平均(414トン)を上回りました。
まき網 ブリ主体の水揚げで、前年を上回りました。
底びき網・ごち網 ニギス・ハタハタ・フグ類は前年を上回り、アカガレイ・アマエビは前年並み、マダラ・ズワイガニは前年を下回りました。アカガレイは97トン水揚げされました。1月前半から2月後半までの累計は221トンで、前年(186トン)並みで、過去5年平均(168トン)を上回りました。
刺網・釣り・その他 ガンド・マダラ・ナマコは前年を上回り、ベニズワイガニ・アマエビは前年並みでした。
まき網 ブリ主体の水揚げで、前年を上回りました。
底びき網・ごち網 ニギス・ハタハタ・フグ類は前年を上回り、アカガレイ・アマエビは前年並み、マダラ・ズワイガニは前年を下回りました。アカガレイは97トン水揚げされました。1月前半から2月後半までの累計は221トンで、前年(186トン)並みで、過去5年平均(168トン)を上回りました。
刺網・釣り・その他 ガンド・マダラ・ナマコは前年を上回り、ベニズワイガニ・アマエビは前年並みでした。
第24回全国青年・女性漁業者交流大会が開催されました
平成31年2月28日(木)、3月1日(金)東京都内において第24回全国青年・女性漁業者交流大会が開催されました。大会では、全国の青年、女性漁業者グループが日頃の研究・実践活動の成果を発表するとともに、参加者間の交流が行われました。
石川県からは石川県漁協穴水支所の齋藤義己(さいとうよしみ)さんが、都内から穴水町に移住して、カキ養殖業を営んできたこれ
までの取組みや活動について発表を行い、JF全国女性連・漁青連会長賞を受賞しました。
審査員からは、Iターンによる就業にあたり、身の丈にあった経営で自立ができている点、生産したカキを自前のレストランで販売するなど自己完結ができている点などが評価されました。
齋藤さんには今回の受賞を励みに、今後もカキ養殖経営の発展に取り組んで頂くとともに、当センターとしても引き続き技術指導など支援していきたいと考えています。
石川県からは石川県漁協穴水支所の齋藤義己(さいとうよしみ)さんが、都内から穴水町に移住して、カキ養殖業を営んできたこれ
までの取組みや活動について発表を行い、JF全国女性連・漁青連会長賞を受賞しました。
審査員からは、Iターンによる就業にあたり、身の丈にあった経営で自立ができている点、生産したカキを自前のレストランで販売するなど自己完結ができている点などが評価されました。
齋藤さんには今回の受賞を励みに、今後もカキ養殖経営の発展に取り組んで頂くとともに、当センターとしても引き続き技術指導など支援していきたいと考えています。
いしかわの魚の移り変わり (2月16日公開セミナー講演概要)
石川県では四季折々の様々な魚が漁獲され、豊かな食文化を支えているほか、訪れる観光客にとっての魅力にもなっています。一方で、魚には好漁不漁といった変動があります。この漁模様の良し悪しには様々な要因がありますが、資源の変動が大きな要因になっています。
日本周辺海域の魚類資源については、マイワシとカタクチイワシの関係に代表される、魚種交替という現象が知られています。これはマイワシとカタクチイワシが数十年規模の周期で交互に増えたり減ったりを繰り返すというダイナミックな資源変動で、地球規模の気候・環境変動によって引き起こされているとの説が有力です。この魚種交替は石川県内の水揚量でも確認でき(上図)、海の魚の生態系を考える上で重要なイベントです。他の魚においても程度の差こそあれ、このような十~数十年単位の変動を繰り返すものは多くいます。水揚げされる魚全体を見ると、十年程度の単位で主要魚種の顔ぶれがガラッと変わることがわかってきました。石川県内の漁獲の変動についても、周辺の水温だけでなく、地球規模の環境変動の影響が強いという結果も得られており、今後さらなる研究が求められます。
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