2019年6月28日金曜日

アユの種苗生産


  アユは、全国各地に分布する1年魚で、川でふ化した後に海へ下って仔稚魚期を海で過ごし、再び川を遡っていくという生活史を送ります。本県におけるアユの産卵期は10月上旬~11月上旬で、下流域の河底が小砂利などの場所で、主に1~2cmの石に直径1mmほどの卵を産み付けます。産卵の約2週間後に全長6mm前後でふ化したアユはそのまま海(河口付近のごく沿岸域)へと下り、冬の間に主に動物プランクトンを食べて成長します。
  アユの遡上量は様々な要因によって大きく変動します。特に、稚魚期における海洋環境や外敵の量が大きく影響すると考えられています。これらは人の力で制御することが困難であることから、人工飼育の稚アユを放流(種苗放流)することで、アユの遡上量を補う取り組みを行っています。
  ふ化した稚アユは冬の間は海水で、春には淡水で体長70mm以上になるまでに飼育します。4~6月に県内の内水面漁業協同組合に配布し、各河川に放流されます。このように、アユの飼育環境は、海水から淡水へと大きく変わるため、生産コストが高いことに加えて飼育が難しい種苗ですが、志賀事業所と美川事業所が連携を組むことにより、安定した種苗生産を確立しています。また、内水面水産センターでは手取川におけるアユ遡上状況、産卵状況などを調査し、種苗生産と併せてアユ資源の持続的な利用に繋がるよう日々努力しています。
  今年も、水産総合センターが生産した約36万尾の稚アユが、県内の9河川で放流され、アユ漁解禁とともに太公望を楽しませています。(増田泰隆)

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