2012年7月24日火曜日

スルメイカの資源状況と漁況の見通し(8月~12月) その1

1.日本海における資源状況

 日本海スルメイカ漁場一斉調査が6月下旬から7月上旬に行われました。この調査は石川県の調査船白山丸の他、鳥取県から北海道の研究機関の調査船8隻が共同してスルメイカの資源量や分布状況を調査するもので、日本海の合計54定点(図1)でイカ釣り調査を行いました。


 全調査点のイカ釣機1台1時間当たりの釣獲尾数(CPUE)の平均値が資源量の指標となります。今年の平均CPUEは17.3尾であり、昨年(16.6尾)および過去5ヵ年平均(16.3尾)をやや上回りました(図2)。この結果から、今年の資源量は昨年および過去5ヵ年平均をやや上回ると判断されます。

スルメイカの資源状況と漁況の見通し(8月~12月) その2

2.日本海における分布と魚体サイズ

 一斉調査時の分布状況は図1のとおりでした。道央・道南の沿岸海域と大和堆付近の沖合域でCPUEが20尾以上の分布密度の高い操業点がみられました。今年は昨年および過去5ヵ年平均に比べて魚体サイズが大きく(図3)、例年、小型個体が多い北海道沿岸にも外套長21㎝以上の大型個体が多く分布していました。

3.太平洋側の資源状況
 太平洋側に分布するスルメイカは10月以降、宗谷海峡および津軽海峡を経由して日本海に来遊します。このため、太平洋側のスルメイカの資源状況は10月以降の日本海の漁況に深く関係します。平成24年度第1回太平洋スルメイカ長期漁況予報によると、太平洋側の来遊量は漁獲量の多かった昨年を下回ると予測されています。

 以上のように、今年の資源量は昨年および過去5ヵ年平均をやや上回り、漁場一斉調査時には魚体サイズが大きかったことから、今年8~12月の日本海における漁獲量は、昨年および過去5ヵ年平均を上回ると予想されます。海域別の漁況は下記のように予想されます。

・道北・道央(小型いか釣り):8月を中心に昨年および過去5ヵ年平均を上回る。
・道南・津軽(小型いか釣り):9~10月に漁獲量は減少するが、昨年および過去5ヵ年平均並み。
・本州北部日本海(小型いか釣り):活発な漁場形成はなく、昨年並みで過去5ヵ年平均を下回る。
・西部日本海(小型いか釣り):漁場形成は10月以降で、昨年を上回り、過去5ヵ年平均並み。
・沖合域(中型いか釣り):主な漁場は北海道沖で漁期の経過は昨年より早い。過去5ヵ年平均並み。

※ 本予報の詳細については下記URLの資料をご覧ください。
日本海スルメイカ長期漁況予報: http://abchan.job.affrc.go.jp/gk24/20120720_n.pdf
太平洋スルメイカ長期漁況予報: http://abchan.job.affrc.go.jp/gk24/20120720_t.pdf

沿岸観測ブイの水温(7月14日~18日の平均)

・沿岸観測ブイの水温(水深10m)
  7月14日~18日の平均水温は22.2℃~23.8℃で、7月上旬に比べ2.2℃上昇しました。
 過去3年平均に比べ、外浦沿岸では低め、内浦沿岸では平均並みでした。

・港内水温(水深1.5m)
  7月14日~18日の平均水温は23.2℃~24.5℃で、7月上旬に比べ2.0℃上昇しました。
 過去3年平均に比べ、橋立港・宇出津港では低めでした。

2012年7月10日火曜日

大型クラゲ情報(独立行政法人水産総合研究センター)

独立行政法人水産総合研究センターが6月29日に発表した大型クラゲの出現と予測に関する情報は次のとおりです。

・水産総合研究センターの調査船陽光丸は、6月23日に東シナ海中央部2地点で大型クラゲの出現を確認しました。また、広島大学が日中間の国際フェリーで行った目視調査では、6月23日~26日に黄海および上海沖で大型クラゲの出現を確認しました。
・現時点での出現量は、昨年度および一昨年度より多いものの、大型クラゲが大量に来遊した平成21年度に比べると少ない状況です。
・現在の大型クラゲの分布を流れの予測結果にあてはめると、7月上旬頃に対馬周辺に大型クラゲが出現する可能性が示されました。
石川県水産総合センターでは、今後大型クラゲの出現に関する新たな情報が入り次第、情報提供を行う予定です。

沿岸観測ブイの水温(6月30日~7月4日の平均)

・沿岸観測ブイの水温(水深10m)
  過去3年平均に比べ、外浦沿岸・内浦沿岸ともに低めでした。6月30日~7月4日の平均水温は20.4℃~21.8℃で、6月下旬に比べ1.2℃上昇しました。
・港内水温(水深1.5m)
  過去3年平均に比べ、橋立港・宇出津港では低め、石崎港では高めとなりました。6月30日~7月4日の平均水温は20.5℃~24.6℃で、6月下旬に比べ約1.4℃上昇しました。

石川県主要港の水揚げ状況(6月21日~30日)

・定置網
 トビウオ類は、前年をかなり上回りました。5月下旬以降、好調に推移しており、6月下旬までの累計は過去5年平均の2倍となっています。フグ類・ガンド・クロマグロは前年を上回り、マアジ・マサバは前年並みでした。
・まき網
 マイワシは、富来港・輪島港主体に前年をかなり上回りました。メジマグロは金沢港・七尾港で水揚げがあり前年を上回りました。
・底びき網・ごち網
 ニギス・アカガレイ・アマエビは前年を上回り、ハタハタは前年並みでした。
・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 サザエは前年並み、ウマヅラハギ(かわはぎ)・ウスメバル(やなぎばちめ)は前年を上回りました。
・小型いか釣り
 スルメイカは、富来港・鹿磯港・輪島港主体に4.7万箱の水揚げがあり、前年並みでした。