2011年7月29日金曜日

スルメイカの資源状況と漁況の見通し(8~12月) その1

1.日本海における資源状況


日本海スルメイカ漁場一斉調査が6月中旬から7月上旬に行われました。この調査は石川県の調査船白山丸の他、鳥取県から北海道の研究機関の調査船8隻が共同してスルメイカの資源量や分布状況を調査するもので、日本海の合計53定点(図1)でイカ釣り調査を行いました。

 
 
 全調査点のイカ釣り機11時間当たりの釣獲尾数(CPUE)の平均値が資源量の指標となります。今年の平均CPUE16.6尾であり、昨年(14.6尾)を上回り、過去5ヵ年平均(16.2尾)並みでした(図2)。この結果から、今年の資源量は昨年を上回り、過去5ヵ年平均並みと判断されます。
 


2.日本海における分布と魚体サイズ


一斉調査時の分布状況では、道北・道央海域や能登半島付近の沿岸、大和堆付近の沖合域でCPUEが20尾以上の分布密度の高い操業点がみられました(図1)。今年は過去5ヵ年平均および昨年に比べて魚体サイズが小さく(図3)、特に道北・道央海域では外套長16㎝未満(体重85g未満)の個体が多くを占めました。



スルメイカの資源状況と漁況の見通し(8~12月) その2

3.太平洋側の資源状況


太平洋側に分布するスルメイカは10月以降、宗谷海峡および津軽海峡を経由して日本海に来遊します。このため、太平洋側のスルメイカの資源状況は10月以降の日本海の漁況に深く関係します。平成23年度第1回太平洋スルメイカ長期漁況予報によると、太平洋側の来遊量は昨年を上回ると予測されています。

以上のように、漁場一斉調査時には魚体サイズは小さいものの資源量は比較的多く、太平洋側の来遊量も多いと見込まれることから、日本海の9月以降の漁況(来遊量)は昨年を上回り、過去5ヵ年平均並みになると予想されます。海域別の漁況予測は下記のとおりです。

・道北・道央(小型いか釣り): 9月以降、昨年を上回り、過去5ヵ年平均並み。

・道南・津軽(小型いか釣り): 9月以降、昨年並みで、過去5ヵ年平均を下回る。

・本州北部日本海(小型いか釣り): 活発な漁場形成はなく、昨年および過去5ヵ年平均並み。

・西部日本海(小型いか釣り): 11月以降、昨年を上回り、過去5ヵ年平均並み。

・沖合域(中型いか釣り): 9月以降、昨年を上回り、過去5ヵ年平均並み。

※ 本予報の詳細については下記URLの資料をご覧ください。

日本海スルメイカ長期漁況予報: http://abchan.job.affrc.go.jp/gk23/20110722_n.pdf

太平洋スルメイカ長期漁況予報: http://abchan.job.affrc.go.jp/gk23/20110722_t.pdf

白山丸の調査予定

アマエビ分布量調査・ 潮流観測   8月1日~10日(金沢沖・輪島沖)

第3次スルメイカ釣り試験操業・沖合海洋観測  8月17日~31日(能登半島沖~大和堆)

石川県周辺海域の表面水温図(7月27日)



表面水温は25℃の水域が広がっており、過去5年の平均水温と比較すると、外浦海域の沖合で1℃以上高めとなっています。

沿岸観測ブイの水温(7月23日~27日の平均)


・沿岸観測ブイの水温(水深10m)は、7月中旬に比べ約1.1℃上昇しました。7月23日~27日の平均水温は23.7℃~25.0℃で、過去3年平均と比較すると、いずれの海域でも低めでした。


・港内水温(水深1.5m)は、7月中旬に比べ約0.8℃上昇しました。7月23日~27日の平均水温は24.0℃~28.8℃で、過去3年平均と比較すると橋立港・宇出津港では低め、石崎港では高めでした。橋立港内の水温は7月中旬まで高めで推移し、7月18日には29℃台まで上昇していましたが、台風6号が通過した22日には24℃台へ急速に低下しました。

石川県主要港の水揚げ状況(7月11日~20日)

・定置網
 マアジは、6月下旬以降、前年を下回り低調に推移しています。トビウオは、漁期が平年に比べ遅れましたが、6月中旬以降、前年を上回って推移しています。

・まき網
 マイワシは、富来港主体に前年をかなり上回って推移しています。4月から7月までの累計は平成12年並みの水準となっています。七尾港ではクロマグロのまとまった水揚げがありました。
・底びき網・ごち網
 大和堆のアマエビは前年を上回りました。
・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 サザエ・ウマヅラハギ(かわはぎ)・ウスメバル(やなぎばちめ)は前年を上回りました。

2011年7月15日金曜日

大型くらげ情報(日本海区水産研究所)


 日本海区水産研究所が発表した大型クラゲの出現に関する現在までの情報は以下のとおりです。


(東シナ海、黄海)
・6月7日の目視調査では、長江河口東沖で少数の大型クラゲを確認しました。現時点での出現量は、昨年同期の約半分程度と少ない状況です。
・6月15日~21日の目視調査と6月14日~20日の分布調査では、大型クラゲの出現は確認されませんでした。

(対馬海峡)
・6月29日、7月12日の対馬海峡における目視調査では、大型クラゲの出現は確認されませんでした。

 大型クラゲが大量出現した平成21年の場合、6月に東シナ海で高密度な出現が確認されていますが、現在のところ、中国沿岸の限られた海域での出現に留まり、全体的に平成21年に比べて非常に少ない状況です。今後も調査結果が公表され次第、情報提供を行います。

沿岸観測ブイの水温(7月9日~13日の平均)


・沿岸観測ブイの水温(水深10m)は、7月上旬に比べ約1.4℃上昇しました。7月9日~13日の平均水温は20.4℃~24.3℃で、過去3年平均と比較すると、外浦沿岸では高め、内浦沿岸では平均並みでした。


・港内水温(水深1.5m)は、7月上旬に比べ約2.1℃上昇しました。7月9日~13日の平均水温は22.7℃~27.1℃で、過去3年平均と比較すると橋立港・石崎港では高め、宇出津港では低めでした。8日以降、気温の高い日が続いていることから水温も急速に昇温しており、石崎港では13日に30℃を超えました。

石川県主要港の水揚げ状況(7月1日~10日)


・定置網
 マアジは、蛸島港・宇出津港・七尾地区主体に、前年を下回りました。トビウオは6月中旬以降、前年を上回って推移しています。マサバ・フクラギは前年を上回りました。

・まき網
 マイワシは富来港主体に前年をかなり上回りました。6月中旬以降、過去10年平均を上回る水揚げが続いています。七尾港ではメジマグロのまとまった水揚げがありました。
・底びき網・ごち網
 7月に入り底びき網は休漁となり、大和堆周辺海域で操業する沖合底びき網、沿岸のごち網のみが水揚げを行っています。大和堆のアマエビは前年を下回りました。
・小型いか釣り
 スルメイカは引き続き低調に推移しており、前年をかなり下回りました。
・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 サザエ・マダコ・バイ類・カレイ類主体の水揚げとなっています。

2011年7月8日金曜日

シャチブリが水揚げされました

 石川県漁協すず支所から、「蛸島港の小型底びき網漁船が、これまでに見たことがない魚を水揚げした。」との連絡をいただきました。当センターで確認したところ「シャチブリ(鯱振)」という魚でした。体全体がやわらかく、特に口先はゼラチン質でぶよぶよしており、腹びれは鞭のように長く伸びています。四国や九州、沖縄の海底付近に生息している魚で、石川県ではめったに見かけない珍しい魚です。

 鯱(しゃち)は想像上の動物で、天に昇り黄金の龍になって人々に吉祥を招くという古代中国の伝説があります。小型底びき網は2か月間の休漁期間に入りましたが、9月からの豊漁に期待したいと思います。

 この魚の詳しい写真は石川県漁協すず支所参事さんのブログに掲載されていますので、こちらもご覧いただければと思います。(海洋資源部 木本昭紀)
http://osakana-suzu.blogspot.com/

沿岸観測ブイの水温(7月2日~6日の平均)



・沿岸観測ブイの水温(水深10m)は、6月下旬に比べ約1.7℃上昇しました。7月2日~6日の平均水温は19.7℃~22.9℃で、過去3年平均と比較すると、外浦沿岸では高め、内浦沿岸では低めでした。


・港内水温(水深1.5m)は、6月下旬に比べ約2.2℃上昇しました。7月2日~6日の平均水温は21.6℃~24.2℃で、過去3年平均と比較すると、橋立港では高め、宇出津港・石崎港では低めでした。

石川県主要港の水揚げ状況(6月21日~30日)

・定置網
 マアジ・ブリ・スルメイカ・サワラは前年を下回りました。トビウオは、漁期が平年に比べ1旬ほど遅れましたが、6月中旬以降、富来港、七尾地区主体に前年を上回って推移しています。

・まき網
 富来港・輪島港では、マイワシ・カタクチイワシ主体に好調な水揚げとなっています。
・底びき網
 荒天により出漁隻数が少なく、ニギス・アカガレイ・ハタハタ・アマエビ等主要魚種はいずれも前年を下回りました。
・小型いか釣り
 スルメイカは引き続き低調に推移しており、前年を下回りました。サイズは30入りが45%を占め、前年に比べ小型が主体でした。
・その他
 刺し網・釣り・採貝藻では、イワガキ・サザエ・マダコ主体の水揚げとなっています。