2011年12月28日水曜日

定置網の寒ブリ水揚げ状況(12月20日までの速報値)



 石川県沿岸の定置網漁業では寒ブリの盛漁期を迎えています。今漁期は11月下旬から水揚げがまとまり始め、12月中旬までの県内全体の漁獲量は前年比148%の178トンで、前年を上回って推移しています。
 近県では、新潟県佐渡での水揚げが多く、600トンを超える水揚げがありました。富山県でも前年を上回って推移しています。

石川県主要港の水揚げ状況(12月11日~20日)




定置網
 ブリは宇出津港・七尾地区主体に前年を上回りました。サイズは5kg12kg台(78kg台が主体)でした。サバ類は前年を上回り、ソウダガツオ・フクラギは前年並みでした。
まき網
 ブリ・フクラギは金沢港主体に前年を下回り、ガンドは前年を上回りました。

・底びき網・ごち網
 荒天が続き出漁隻数が少なかったこともあり、低調な水揚げとなりました。ズワイガニ、コウバコガニ・マダラ・アマエビは前年を下回り、ニギス・アカガレイは前年を上回りました。
 ズワイガニ・コウバコガニの解禁から12月20日までの累計は、ズワイガニが前年比88%、コウバコガニが77%で、いずれも前年を下回りました。
・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 アンコウ・マダラは前年を下回り、マダコは前年を上回りました。


沿岸観測ブイの水温(12月22日~26日の平均)



・沿岸観測ブイの水温(水深10m)
内浦海域の観測点は、11月以降高めで推移していましたが、12月に入り過去3年平均並みで推移しています。12月22日~26日の平均水温は14.6℃~15.5℃で、12月中旬に比べ約0.8℃低下しました。

・港内水温(水深1.5m)
過去3年平均と比較すると、宇出津港では平均並みとなりました。12月22日~26日の平均水温は13.4℃~14.9℃で、12月中旬に比べ約0.8℃低下しました。

石川県周辺海域の表面水温図(12月26日)



石川県周辺海域の表面水温は14℃~15℃台の水域が広がっており、過去5カ年の平均水温と比較すると0℃~1℃高めとなっています。




2011年12月20日火曜日

スルメイカ漁況の見通し(漁法:定置網、期間:2012年1~3月)


    スルメイカには秋生まれ群と冬生まれ群があり、冬季の本県沿岸では冬生まれ群が漁獲されます。近年、冬生まれ群の資源水準は中位~高位で比較的安定していますが、冬季に定置網で漁獲されるスルメイカの漁獲量には大きな変動がみられます。これには沿岸水温が関係しており、冬季(1月)の本県以北沿岸(北緯41度以南・東経137度以東の日本海)の50m深水温が低い年ほど冬季の本県定置網による漁獲量が多くなる傾向がみられます。つまり、水温が低いとスルメイカの分布域が沿岸寄りになるため漁獲量が増えるものと考えられ、厳冬であった2006年には1208トンの好漁となりました。


 日本海海況予測システム(JADE)による計算では、2012年1月の50m深平均水温は過去3年平均並みの10.7℃と予測されています。この予測水温を漁獲量と50m深水温の関係に当てはめたところ、2012年1~3月の定置網によるスルメイカの漁獲量は421トンで、昨年(543トン)を下回り、過去3年平均(384トン)並みと予想されました。
(海洋資源部 四方崇文)

「ホタテウミヘビ」が水揚げされました


 県漁協能都支所から、ウナギに似た魚が定置網で獲れたので調べてほしいとの依頼がありました。一見したところ頭の辺りがウナギやハモのような形をしていますが、獰猛な顔つきをしています。これはホタテウミヘビというウナギ目ウミヘビ科に分類される魚で、毒を持つ爬虫類のウミヘビの仲間ではありません。ホタテウミヘビは、上顎に2つの突起があること、尾鰭が無いことが特徴です。
 生息域は、東京湾~鹿児島県、瀬戸内海、日本海西部沿岸の砂泥域で、能登半島沿岸の定置網でも混獲されることがあります。食べることはできますが、小骨が多く身が固いため市場で販売されることはないようです。また、歯は小さいが鋭いので噛まれないよう注意が必要です。
(海洋資源部 奥野充一)

沿岸観測ブイの水温(12月14日~18日の平均)



・沿岸観測ブイの水温(水深10m)
 内浦海域の観測点は11月以降高めで推移していましたが、12月に入り過去3年平均並みで推移しています。12月14日~18日の平均水温は15.6℃~16.1℃で、12月上旬に比べ約1.6℃低下しました。

・港内水温(水深1.5m)
  過去3年平均と比較すると、橋立港では高め、宇出津港で平均並みとなりました。12月14日~18日の平均水温は14.2℃~15.8℃で、12月上旬に比べ約2.2℃低下しました。

石川県主要港の水揚げ状況(12月1日~10日)



・定置網
 ブリは8kg~12kgサイズ主体に前年並みでした。前年は水揚げが七尾地区に集中していましたが、本年は蛸島港・宇出津港・七尾地区のいずれの地区でも順調な水揚げが続いています。サバ類・ソウダガツオ・カマスは前年を上回り、フクラギ・マアジは前年並みでした。

・まき網
 ブリは金沢港・七尾港主体に前年を下回りました。ガンドは前年を上回り、フクラギは前年を下回りました。
・底びき網・ごち網
 ズワイガニ、コウバコガニはいずれも前年を下回りました。ニギスは前年を下回り、アカガレイ・マダラ・アマエビは前年並みでした。
・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 マダラは輪島港主体に、前年を上回り好調に推移しています。アンコウは前年を下回り、マダコは前年を上回りました。

2011年12月9日金曜日

石川県沿岸のマダラ水揚げ状況

 外浦海域の釣り・刺し網ではマダラの漁期となり、前年に引き続き順調な水揚げが続いています。

 石川県内主要港におけるマダラ水揚げ量(釣り・刺し網)の推移を見ると、平成15年漁期まで約10年間不漁が続きましたが、平成16年漁期に急増し464トンを記録しました(下図)。これは平成13年に生まれたマダラの資源水準がかなり高かったことによるものです。この群れは平成14年(1歳)に底びき網でまとまって混獲され(上図)、その後、平成16年漁期(4歳)以降に刺し網・釣りの漁獲の主体となり、3年間に渡り300トンを超える水揚げが続きました。

 その後は減少したものの、平成21年漁期に再び急増し、漁獲量は700トンを超えました。これは資源水準のかなり高い平成18年生まれが4歳となり漁獲の主体になったことによるものです。平成21年漁期・22年漁期は内浦海域の定置網でも好漁となり、水揚げ量は昭和61年以来24年ぶりに100トンを超えました。

 平成23年漁期(今年の冬)は、この群れが6歳となり引き続き漁獲の主体になると思われますので、前年に続き好漁となり水揚げ量は平年を上回ることが期待されます。

 また、平成23年は底びき網でマダラの小銘柄(1歳魚主体)が比較的まとまって混獲されています。1月~11月の水揚げ量は、平成18年生まれが1歳魚として混獲された19年に次ぐ水準であることから、平成22年生まれの資源水準が比較的高い可能性があり、今後の動向に注目したいと思います。
(海洋資源部 木本昭紀)


沿岸観測ブイの水温(12月3日~7日の平均)



・沿岸観測ブイの水温(水深10m) 内浦海域の観測点は11月以降高めで推移していましたが、12月上旬は過去3年平均並みとなりました。12月3日~7日の平均水温は17.3℃~17.9℃で、11月下旬に比べ約0.7℃低下しました。


・港内水温(水深1.5m) 宇出津港・石崎港ともに過去3年平均並みとなりました。12月3日~7日の平均水温は13.5℃~17.1℃で、11月下旬に比べ約1.5℃低下しました。

石川県主要港の水揚げ状況(11月21日~30日)


・定置網
 ブリは七尾地区・宇出津港・蛸島港主体に前年を上回りました。12月に入ってからも8kg~12kgサイズ主体に順調な水揚げが続いています。フクラギは前年を下回り、マアジ・マサバは前年並みでした。

・まき網
 ガンドは金沢港・七尾港主体、フクラギは富来港主体にいずれも前年を下回りました。
・底びき網・ごち網
 ズワイガニは前年並み、コウバコガニは前年を下回りました。ニギスは前年を下回り、アカガレイ・マダラ・アマエビは前年並みでした。
・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 マダラは輪島港主体に、好漁であった前年を下回りましたが、平年を上回って推移しています。アンコウは輪島港主体に前年並み、メジマグロは富来港主体に前年を上回りました。