2019年7月26日金曜日

石川県周辺海域の水温 (期間:7月14日~18日)


沿岸の海面水温 7月18日の本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は24~26℃台で、過去5年平均との差はー0.5~+0.5℃程度でした。

沿岸観測ブイの水温 今期の水温は22.1~23.2℃で、7月中旬から約1.0℃上昇しました。過去3年平均との差は-2.9~―1.2℃でした。

港内の水温 今期の水温は23.4~25.4℃で、過去3年平均との差はー2.7~-0.5℃でした。

日本海スルメイカ長期予報 (予報期間:8月~12月)

来遊状況 スルメイカ漁場一斉調査が6月中旬から7月上旬に行われました。石川県の調査船白山丸の他、北海道から鳥取県の7道県と日本海区水産研究所の調査船が合計65定点でイカ釣り操業を行い
、スルメイカの分布や魚体サイズ(外套長)を調べました。全調査点の釣機1台1時間当たりの釣獲尾数(CPUE)の平均値が来遊量の指標になります。今年の平均CPUEは7.40尾であり、前年(10.16尾)および過去5年平均(15.31尾)を下回りました。従って、今年の来遊量は前年および過去5年平均を下回っていると判断されます。

分布状況と魚体サイズ 隠岐諸島から能登半島までの沿岸、並びに北海道沿岸ではCPUEは比較的高かったものの沖合域や本州北部沿岸ではCPUEは極めて低く、スルメイカが漁獲されない定点もありました。今年は前年および過去5年平均に比べて、外套長17cm以上の個体の分布量が少なく、例年ほとんど漁獲されない16cm未満の個体の分布量は多く、全体として魚体が小さいことが分かりました。

太平洋側の分布状況 太平洋側に分布するスルメイカは10月以降、宗谷海峡および津軽海峡を経由して日本海に来遊するため、太平洋側の分布状況は10月以降の日本海の漁況に影響します。太平洋スルメイカ長期漁況予報によると、8~9月の来遊量は常磐~三陸海域と津軽海峡~道東海域で前年を下回ると予想されています。

漁況の見込み 以上より、日本海全体では今期の来遊量(漁獲量)は前年および過去5年平均を下回ると予想されます。海域別の来遊量の予想は以下のとおりです。


道北・道央:前年および過去5年平均を下回る。

道南・津軽:前年並みで、過去5年平均を下回る。

本州北部日本海および西部日本海:近年同様、漁場は形成されにくい。

沖合域:前年および過去5年平均を下回る。11月まで道西沖、11月以降は大和堆付近が漁場となる。

本予報の詳細については下記URLの資料をご覧ください。

日本海スルメイカ長期漁況予報 : http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr2019/20190725_n/

太平洋スルメイカ長期漁況予報 : http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr2019/20190725_t/

大型クラゲ情報 (期間:7月5日~17日)

国立研究開発法人水産研究・教育機構が7月9・10日に、一般社団法人漁業情報サービスセンターが7月8~18日に発表した大型クラゲに関する情報は次のとおりです。

日本海 7月16・17日に山口県の定置網で1,000個体(傘径50cm)を超える入網がありました。また、7月13・16日に島根県の定置網で200~400個体(傘径50~60cm)の入網がありました。なお、長崎県の定置網では日間差・地域差の大きいものの、入網(1~500個体/日)が続いています。

東シナ海 7月2・3日に上海・大阪間の国際フェリーによる目視調査では、上海沖と済州島南沖から壱岐南沖全域で集群が目撃されました。上海沖では傘径は20~50cm、最大密度は1.42個体/100m2でした。済州島南沖から壱岐南沖全域では傘径は20~80cm、最大密度は2.33個体/100m2でした。

黄海 7月6~8日にピョンテク(韓国)・連雲間(中国)の国際フェリーで行われた目視調査では、黄海中央部で小規模な群が目撃されました。傘径は20~50cm、最大密度は0.012~0.015個体/100m2でした。

対馬海峡 7月7日に国際フェリーで行われた目視調査では、対馬海峡東水道で303個体、西水道で31個体目撃され、傘径は30~80cmでした。

山口県の定置網では1,000個体を超える大型クラゲの入網となっています。今年は九州沿岸から本州沿岸を北上する経路をとると予想されることから、石川県でも注意が必要です。水産総合センターでは今後も大型クラゲの出現情報を収集・提供してまいります。大型クラゲの目視・入網情報等がありましたら、水産総合センターまでお知らせください。

石川県主要港の水揚状況 (期間:7月1日~15日)

定置網 ガンド・カタクチイワシ・マイワシ・アカイカは前年を上回り、サワラ・サゴシ・マアジ・フクラギ・コゾクラは前年を下回りました。トビウオは27トン水揚げされました。5月前半から7月前半までの累計は101トンで、前年(188トン)および過去5年平均(216トン)を下回りました。

まき網 ウルメイワシ・マアジは前年を上回り、サバ・マイワシ・ブリは前年を下回りました。

底びき網・ごち網 沖合底びき網のアマエビは前年並みでした。

刺し網・釣り・その他 フグ類は前年並み、ベニズワイガニ・サザエ・マダコ・アマダイは前年を下回りました。

トラフグの放流

日本海におけるトラフグの産卵場は若狭湾や八郎潟周辺などいくつか知られており、七尾湾もその一つで稚魚の育成場ともなっています。

石川県沿岸ではトラフグの資源を増やすため漁業者による種苗放流が続けられており、今年も7月2日に志賀町赤崎漁港、七尾市能登島通漁港(七尾湾)でトラフグの稚魚約4万尾の放流を行いました。放流したトラフグは体長9cmほどで、能登島通漁港で放流したものについては、県や七尾市の職員、県漁協ななか支所の組合員14人が、追跡調査の目印になるよう2千尾の背びれを1匹ずつハサミで切除して放流しました。

トラフグは日本海を広く回遊し、親となって生まれた産卵場に帰ってくるとされており、放流したトラフグも大きく成長し石川県沿岸へ帰ってくることが期待されます。

水産総合センターでは放流魚の移動や回収率を推定するため、七尾魚市場㈱や県漁協能都支所に協力していただき放流魚の水揚げ状況調査を行っています。トラフグの標識方法は県毎に異なっており、本県は背ビレの切除を、他県では胸ビレや尾ビレの切除、タグの装着などを行っています。水揚げされたトラフグにこれらの標識が確認された際には水産総合センターまでご連絡ください。
(内藤隆介)



小型イカ釣り水揚げ量の訂正

漁海況情報427号~430号の小型いか釣り水揚量の集計値に誤りがあったため、下記のとおり訂正します。

2019年7月12日金曜日

調査船白山丸のスルメイカ調査結果 (期間:6月20日~27日)

調査船白山丸は6月20日から27日に能登半島沖~大和堆周辺海域(日本海中央部)の定点でイカ釣り調査を行いました。スルメイカの分布密度の指標であるCPUE(釣機1台1時間当たりの漁獲尾数)は0.0~6.1尾でした。全調査点の平均CPUEは1.9尾と極めて低く、前年(12.8尾)および過去5年平均(23.6尾)を下回りました。従って、今年6月の日本海中央部におけるスルメイカの分布量は前年および過去5年平均を大幅に下回っていたと判断できます。本調査で漁獲したスルメイカの外套長(魚体サイズの指標)の平均値は13.2cmであり、前年(19.5cm)および過去5年平均(20.4cm)に比べて魚体が小さく、例年、比較的多く漁獲される外套長20cm前後の個体はほとんど分布していませんでした。


大型クラゲ情報 (期間:6月11日~7月5日)

国立研究開発法人水産研究・教育機構が7月3日に、一般社団法人漁業情報サービスセンターが7月2・3日に発表した大型クラゲに関する情報および県内報告は次のとおりです。

日本海 6月26日~7月2日に対馬の定置網で10~200個体(傘径40~100cm)、五島の定置網で2~100個体(傘径50~100cm)の入網がありました。山口県の定置網で7月1・2日に15個体(傘径50cm)、石川県でも7月4・5日に加賀市の定置網で2個体(傘径50~60cm)入網しました。

東シナ海・黄海 6月24~30日に水産研究・教育機構の調査船陽光丸で行われた大型クラゲの目視調査では、東シナ海西部で傘径15~70cmの個体の分布が目撃されました。なお、曳網調査では計14個体が入網しました(前年度は入網なし)。6月11~14日に仁川(韓国)・連雲港(中国)間の国際フェリーで行われた目視調査では、青島南沖で傘径10~40cmの小規模な集団(最大密度は0.19個体/100m2)が目撃されました。仁川・連雲港間の前年度同期の最大密度は0個体/100m2で、今年度は前年度を上回りました。上海・大阪間の国際フェリーによる目視調査でも済州島南沖で傘径20~50cmの大規模な集団(最大密度1.89個体/100m2)が目撃されました。

対馬海峡 6月25日に国際フェリーで行われた目視調査では、東水道で52個体、西水道で19個体(傘径25~80cm)が確認されました(前年度同時期は東水道で1個体のみ確認)。

東シナ海、黄海および対馬海峡の分布状況から、大型クラゲの分布水準は前年同時期を上回っていると判断されます。長崎県では広範囲で出現し、石川県でも入網があったことから、今後、注意が必要です。水産総合センターでは今後も大型クラゲの出現情報を収集・提供してまいります。大型クラゲの目視・入網情報等がありましたら、水産総合センターまでお知らせください。

石川県周辺海域の水温 (期間:6月30日~7月4日)

沿岸観測ブイの今期の水温(深度10m)は21.3~22.2℃で、前年同時期との差は-0.8~+0.5℃、過去3年平均との差は-0.7~+0.2℃でした。本県周辺(海岸線より30海里程度)の海面水温は21~22℃台であり、過去5年平均との差は-1.0~±0.0℃程度でした。

石川県主要港の水揚状況 (期間:6月16日~30日)

定置網ではサワラ・サゴシは前年を上回り、トビウオは前年を下回りました。まき網では全体で前年を下回りました。底びき網・ごち網ではスルメイカ・ハタハタは前年を上回り、アマエビは前年並みでした。

クロマグロ仔稚魚調査結果

   太平洋クロマグロの親魚資源量は歴史的最低水準となっており、早急な資源回復が求められています。そこで日本では小型魚の漁獲量を基準年(2002~2004年)の半分以下、大型魚の漁獲量を基準年より増やさないことを国際的に約束し、現在は海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)に基づいた厳格な漁獲量の管理がされています。
   多くの魚類では卵から仔稚魚の間に大部分の個体はほかの魚に食べられることなどにより死んでしまいますが、大きくなるにつれて死亡する割合は減っていきます。そのため、適切な資源管理のためには、多くの個体が死んでしまう卵から仔稚魚の間はどこに分布し、どうやって成長して、何が原因で死んでしまうのかなどをより詳しく知ることが重要となります。
   そこで石川県水産総合センターでは2010年から国際水産資源研究所や各関係県と共同でクロマグロ仔稚魚の採集調査をしています。当センターは7月下旬から8月上旬にかけて漁業調査指導船白山丸を用いた、能登半島北西海域での調査を担当しています。
   2010~2016年には、能登半島北西海域で、クロマグロ仔稚魚はほとんど採集されませんでしたが、2017年の調査では合計294尾、2018年の調査では合計475尾のクロマグロ仔魚が採集されました。2年続けて仔魚が多く採集されたことから、近年太平洋クロマグロの産卵量が多くなった可能性が考えられます。また、多くの仔魚が採集されたということは、能登半島北西海域が本種の仔魚期の生活史において重要な海域になっていると考えられます。
   当センターでは今後も引き続き国際水産資源研究所や関係各県と連携してクロマグロの資源生態調査、研究を実施する予定です。なお、本調査は水産庁委託事業「国際漁業資源評価調査・情報提供委託事業」によって行なわれました。(川畑 達)