2019年7月12日金曜日

クロマグロ仔稚魚調査結果

   太平洋クロマグロの親魚資源量は歴史的最低水準となっており、早急な資源回復が求められています。そこで日本では小型魚の漁獲量を基準年(2002~2004年)の半分以下、大型魚の漁獲量を基準年より増やさないことを国際的に約束し、現在は海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)に基づいた厳格な漁獲量の管理がされています。
   多くの魚類では卵から仔稚魚の間に大部分の個体はほかの魚に食べられることなどにより死んでしまいますが、大きくなるにつれて死亡する割合は減っていきます。そのため、適切な資源管理のためには、多くの個体が死んでしまう卵から仔稚魚の間はどこに分布し、どうやって成長して、何が原因で死んでしまうのかなどをより詳しく知ることが重要となります。
   そこで石川県水産総合センターでは2010年から国際水産資源研究所や各関係県と共同でクロマグロ仔稚魚の採集調査をしています。当センターは7月下旬から8月上旬にかけて漁業調査指導船白山丸を用いた、能登半島北西海域での調査を担当しています。
   2010~2016年には、能登半島北西海域で、クロマグロ仔稚魚はほとんど採集されませんでしたが、2017年の調査では合計294尾、2018年の調査では合計475尾のクロマグロ仔魚が採集されました。2年続けて仔魚が多く採集されたことから、近年太平洋クロマグロの産卵量が多くなった可能性が考えられます。また、多くの仔魚が採集されたということは、能登半島北西海域が本種の仔魚期の生活史において重要な海域になっていると考えられます。
   当センターでは今後も引き続き国際水産資源研究所や関係各県と連携してクロマグロの資源生態調査、研究を実施する予定です。なお、本調査は水産庁委託事業「国際漁業資源評価調査・情報提供委託事業」によって行なわれました。(川畑 達)

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