2012年3月30日金曜日

沿岸の海の天気予報をスタート



 水産総合センターでは、漁業者の皆さんの操業の効率化に役立てていただくため、平成21年度から沿岸の潮の流れや水温の変化を予測する「海の天気予報」の開発を進めてきました。このたび試験稼働を終了し、4月1日から予報システムの本格運用を開始いたします。


海の天気予報の概要

・予報範囲:流向・流速は図1に示す9海域の表層(4m層)、水温は4海域の3層(4, 50, 100m)の予報を提供します。

・予報時間:「現在」,「12時間後」,「1日後」,「2日後」,「3日後」,「4日後」の6通りが閲覧できます。これらは、2時間毎に最新のものに更新されます。

・利用条件:どなたでも自由に閲覧することが可能です。利用者登録は必要ありません。接続先は、石川県水産総合センター携帯漁業情報⇒石川県海況予測です。

(http://www.pref.ishikawa.lg.jp/mobile/suisan/center/sigenbu_files/p-index.html)

・表 示 例:図2左図は、流速予報の⑥輪島沖の表示例です。三角矢印は流れの向きを示し、流れの強さは下の色分けで示してあります。黒線は等深線です。左下の→12時間後を押すと12時間後の予測結果が閲覧できます。図2右図は、水温予報の石川県沖50mの表示例です。水温は左下の色分けで示してあります。

石川県沿岸の海の天気予報の実現に際しては、水温や流れなどの海洋観測データの収集に多くの漁業者の方々の協力を頂きました。この場をお借りして感謝申し上げます。海況予測は、今後とも改善を重ねて信頼性の高いシステムに発展させたいと考えています。皆様の忌憚のないご意見やご要望をお待ちしています。
(海洋資源部 大慶則之)

沿岸観測ブイの水温(3月24日~28日の平均)




・沿岸観測ブイの水温(水深10m)
内浦海域の観測点は、過去3年平均に比べ低めでした。3月24日~28日の平均水温は9.4℃~10.4℃で、3月中旬に比べ約0.2℃低下しました。


・港内水温(水深1.5m)
橋立港では過去3年平均並み、宇出津港では低めでした。3月24日~28日の平均水温は9.4℃~10.4℃で、3月中旬に比べ約0.1℃低下しました。

石川県主要港の水揚げ状況(3月11日~20日)




・定置網
 マイワシは蛸島港・七尾地区主体に前年をかなり上回りました。マアジ・マサバ・ウルメイワシは前年を上回り、ブリ・ガンド・フクラギは前年を下回りました。


・まき網
 ブリ・ガンド・マアジは前年を上回りました。

・底びき網・ごち網
 ハタハタは、漁期が遅れた前年を上回りました。県内全域で順調な水揚げが続き、2月中旬以降は過去5年平均並みで推移しています。ニギス・ズワイガニ・アマエビは前年を上回り、アカガレイは前年並みでした。

・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 ブリ・ガンドは輪島地区主体に前年をかなり上回りました。ミズダコは前年並み、フクラギは前年を下回りました。

2012年3月23日金曜日

沿岸観測ブイの水温(3月16日~20日の平均)

・沿岸観測ブイの水温(水深10m) 内浦海域の観測点は、過去3年平均に比べ低めでした。3月16日~20日の平均水温は9.6℃~10.3℃で、3月上旬に比べ約0.2℃低下しました。


・港内水温(水深1.5m) 橋立港・宇出津港では過去3年平均に比べ低めでした。3月16日~20日の平均水温は9.8℃~10.2℃で、3月上旬に比べ約0.1℃上昇しました。



石川県周辺海域の表面水温図(3月20日)

石川県周辺海域の表面水温は9℃~10℃台の水域が広がっており、過去5カ年の平均水温と比較すると0℃~0.5℃低めとなっています。


石川県主要港の水揚げ状況(3月1日~10日)

・定置網
マイワシは七尾地区主体に前年をかなり上回りました。体長は17cmから18cmが主体でした。マサバは前年を上回り、マアジは前年並み、スルメイカ・マダラ・ブリ・ガンドは前年を下回りました。


・まき網
ガンド・マサバは前年を上回り、マアジは前年を下回りました。

・底びき網・ごち網
ハタハタは前年を上回りました。金沢港・富来港などで順調な水揚げが続き、2月中旬以降は過去5年平均並みで推移しています。アカガレイ・ニギス・ズワイガニ・アマエビは前年を上回りました。

・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
ブリ・ガンドは輪島地区主体に前年をかなり上回りました。ミズダコは前年を上回り、フクラギ・マダラは前年を下回りました。





2012年3月9日金曜日

ウシマンボウ?来遊



  2月9日能登町の大型定置網に体長2.4mに達する大きなマンボウが入網しました。冬の富山湾の大型定置網には、しばしばマンボウが入網しますが、この個体はちょっと変わっていました。写真では少しわかり難いかもしれませんが、頭部(おでこの部分)が大きく隆起しています。実はこれは、ウシマンボウと呼ばれるマンボウとは別種の魚と思われます。日本近海に分布するマンボウ(属)は、これまで1種とされてきましたが、近年の広島大学(澤井悦郎)・東京大学(山野上祐介)のマンボウ類の分類に関する研究(DNA・形態解析)により、マンボウとウシマンボウの2種に分けられることが明らかとなりました。ウシマンボウはマンボウに比べ、確認個体数もかなり少なく、日本海では今回が初めての記録となります(ちなみに、石川県の漁業者の記憶では過去にも数例あるようです)。現在、広島大学の水圏資源生物学研究室でDNA分析等を行っているところですが、なぞの多いマンボウ類の貴重なサンプルとなりました。
(海洋資源部 辻俊宏)

沿岸観測ブイの水温(3月2日~6日の平均)

1 沿岸観測ブイの水温(水深10m)
内浦海域の観測点では、過去3年平均に比べ低めで推移しています。3月2日~6日の平均水温は9.7℃~9.8℃で、2月下旬に比べ約0.2℃低下しました。


2 港内水温(水深1.5m)
 いずれの港でも過去3年平均に比べ低めとなりました。3月2日~6日の平均水温は7.4℃~10.0℃で、2月下旬に比べ約0.2℃上昇しました。



能登半島北西海域の各層水温 (白山丸の3月海洋観測結果)

 能登半島北西沖の沿岸から50マイル以内の海域の平均水温は、いずれの水深帯でも過去10年平均並みでしたが、前年と比較すると水深100m200m2℃ほど高めとなっていました。50マイル~100マイルの海域の平均水温は、いずれの水深帯でも過去10年平均並みでした。

水深200mの水温分布図 (日本海区水産研究所発行の日本海漁場海況速報No.677)

 平成243月上旬の水温分布図(水深200m)を前年と比較すると、禄剛埼北方沖に水温の高い海域が見られます。能登半島西方沖から加賀沖にかけては水温の低い海域がやや岸寄りに分布しています。

石川県主要港の水揚げ状況(2月21日~29日)

1 定置網
 スルメイカは七尾地区主体に好調だった前年並みでした。ウマヅラハギ(かわはぎ)・ヤリイカ・ウルメイワシは前年を上回り、マアジ・マダラ・ブリ・マイワシ・カタクチイワシは前年を下回りました。


2 まき網
 ブリ・ガンドは金沢港主体に前年を上回り、フクラギ・マアジは前年を下回りました。

3 底びき網・ごち網
 ハタハタ・アカガレイ・ホタルイカは前年を上回り、ニギス・ズワイガニ・アマエビは前年を下回りました。

4 その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 刺し網・釣りのマダラ・ガンド・フクラギは前年を下回り、エビかごのアマエビは前年を上回りました。



2012年3月2日金曜日

沿岸観測ブイの水温(2月25日~29日の平均)

・沿岸観測ブイの水温(水深10m)

  内浦海域の観測点は、過去3年平均に比べ低めでした。2月25日~29日の平均水温は9.9℃~10.4℃で、2月中旬に比べ約0.4℃低下しました。

小浦沿岸の旬別平均水温を見ると、2月上旬以降は過去3年平均を0.5℃程度下回り、やや低めで推移しています。

・港内水温(水深1.5m)
  橋立港・宇出津港では過去3年平均に比べ低めとなりました。2月25日~29日の平均水温は9.5℃~10.1℃で、2月中旬に比べ約0.1℃上昇しました。







スルメイカ稚仔分布量調査結果 (独立行政法人水産総合研究センター)


 独立行政法人水産総合研究センターは、毎年秋に日本海西部から九州西岸でスルメイカ稚仔(外套長1~3㎜程度)の分布量調査を実施しています。


 合計72カ所の調査点でプランクトンネットを用いて稚仔を採集し、計数・集計した結果、昨年秋の調査点当たり平均採集個体数は0.5尾であり、過去10年平均の28%と少ないことが明らかになりました。日本海では秋に生まれた稚仔が翌年春以降の漁獲対象になることから、今年春以降のスルメイカの不漁が懸念されます。但し、1998年のように稚仔の採集個体数は少なかったにもかかわらず、翌年の資源量は平年並みになったこともありますので、引き続き4月の幼スルメイカ調査(外套長1~10㎝程度の個体対象)や6月の漁場一斉調査(外套長16㎝以上の個体対象)で今後の資源動向を追跡する予定です。

石川県主要港の水揚げ状況(2月11日~20日)




・定置網
 スルメイカは好調だった前年を下回りました。1月から2月中旬までの累計は159トンで、過去5年平均を上回って推移しています。ヤリイカは前年を上回り、マアジ・マダラ・ブリ・ガンド・フクラギ・マイワシは前年を下回りました。


・まき網
 ガンドは金沢港主体に前年を上回り、フクラギは前年を下回りました。

・底びき網・ごち網
 アカガレイ・ハタハタ・アンコウは前年並み、ニギス・ズワイガニ・アマエビは前年を下回りました。

・その他(刺し網・釣り・採介藻など)
 マダラは前年を下回り、アカガレイは前年並みでした。