2012年3月9日金曜日

ウシマンボウ?来遊



  2月9日能登町の大型定置網に体長2.4mに達する大きなマンボウが入網しました。冬の富山湾の大型定置網には、しばしばマンボウが入網しますが、この個体はちょっと変わっていました。写真では少しわかり難いかもしれませんが、頭部(おでこの部分)が大きく隆起しています。実はこれは、ウシマンボウと呼ばれるマンボウとは別種の魚と思われます。日本近海に分布するマンボウ(属)は、これまで1種とされてきましたが、近年の広島大学(澤井悦郎)・東京大学(山野上祐介)のマンボウ類の分類に関する研究(DNA・形態解析)により、マンボウとウシマンボウの2種に分けられることが明らかとなりました。ウシマンボウはマンボウに比べ、確認個体数もかなり少なく、日本海では今回が初めての記録となります(ちなみに、石川県の漁業者の記憶では過去にも数例あるようです)。現在、広島大学の水圏資源生物学研究室でDNA分析等を行っているところですが、なぞの多いマンボウ類の貴重なサンプルとなりました。
(海洋資源部 辻俊宏)

沿岸観測ブイの水温(3月2日~6日の平均)

1 沿岸観測ブイの水温(水深10m)
内浦海域の観測点では、過去3年平均に比べ低めで推移しています。3月2日~6日の平均水温は9.7℃~9.8℃で、2月下旬に比べ約0.2℃低下しました。


2 港内水温(水深1.5m)
 いずれの港でも過去3年平均に比べ低めとなりました。3月2日~6日の平均水温は7.4℃~10.0℃で、2月下旬に比べ約0.2℃上昇しました。



能登半島北西海域の各層水温 (白山丸の3月海洋観測結果)

 能登半島北西沖の沿岸から50マイル以内の海域の平均水温は、いずれの水深帯でも過去10年平均並みでしたが、前年と比較すると水深100m200m2℃ほど高めとなっていました。50マイル~100マイルの海域の平均水温は、いずれの水深帯でも過去10年平均並みでした。

水深200mの水温分布図 (日本海区水産研究所発行の日本海漁場海況速報No.677)

 平成243月上旬の水温分布図(水深200m)を前年と比較すると、禄剛埼北方沖に水温の高い海域が見られます。能登半島西方沖から加賀沖にかけては水温の低い海域がやや岸寄りに分布しています。