2012年4月13日金曜日

爆弾低気圧の強風(4月3日)による流れの発生について

4 月3 日から4 日にかけて、日本海で低気圧が急速に発達し、県内各地で記録的な強風が観測されました。ここでは、内浦海域3カ所で稼働中のリアルタイム観測ブイの観測結果から、この強風に起因する内浦沿岸での流れの発生状況を取りまとめました。

■気象の状況
 4月2日21時に黄海にあった1006hPaの低気圧は、24時間後の3日21時には日本海中部で964hPaと急速に発達しました(図1)。これにともなって、各地で南から西寄りの風が非常に強まり、金沢では南の風19.4m/s(14時40分)、輪島では西南西の風17.5m/s(19時00分)を観測しました(図2 上の金沢と輪島の図)。

■強流の発生状況
 能登町小浦沖では北西向き0.9ノット(4日13時30分)、同鵜川沖では西向き0.9ノット(4日17時20分)を観測しました(図2 下の小浦と鵜川の図)。これに対し、珠洲市小泊沖では、4日夜から東寄りの流れが強まり、東北東向き1.1ノット(5日00時20分)を観測しました(図2 中央の小泊の図)。小泊沖の東寄りの流れは、飯田湾に発生した時計回りの流れによるものとみられます。

■急潮をもたらす南西寄りの強風が観測されたにもかかわらず、大規模な急潮が発生しなかったのは、海水が冷却されてよく混合していたため、風による運動が生じにくかったことが原因と考えられます。今後、気温が上昇して表層水が暖められると、温かく軽い海水が、冷たく重い海水の上に乗る状態(成層状態)となり、表層水は風の影響を受けて容易に運動するようになります。成層が強まる5月~11月であれば、20m/sに達する南西風は確実に急潮を発生させるため、厳重な注意が必要となります。
(海洋資源部 大慶則之)


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